空念仏
提供: 新纂浄土宗大辞典
からねんぶつ/空念仏
信心が定まることなく、ただ口に称える念仏のこと。「そらねんぶつ」ともいう。基『西方要決』に「但空しく念仏せば如何ぞ彼に生ずる。…弥陀の浄土を聞きて発意して生を願ずと雖も進退未だ恒ならず、心決定せざるを判じて少善と為し、浄土に生ぜず」(浄全六・五九九下~六〇〇上)とあり、信心の定まらない空念仏では往生できないとする。法然浄土教では、三心具足の念仏でこそ浄土往生が可能であるとしながらも、「ただまめやかに往生せんと欲いて念仏申さん人は、自然に具足しぬべき心にてそうろう」(『大胡太郎実秀へつかわす御返事』聖典四・三九六/昭法全五一五)と言うように、ただ一心に念仏を称えることで自然に三心具足すると説く。
【執筆者:安孫子稔章】