かしゃ/火車
地獄で猛火が燃えている車のこと。この車に罪人を乗せ獄卒(鬼)が呵責するという。後には、牛頭人身の獄卒(牛頭)、馬頭人身の獄卒(馬頭)が引き、罪ある死者を地獄に迎える車ともなった。例えば『観仏三昧海経』五には、種々の地獄名を挙げる中、第八番目に火車地獄を示し、その中での呵責の様相を記すが、他の資料にはそうした表現はない。日本でも特に中世の文学作品に引用描写されている。なお転じて日常一般では、大変生計が苦しいことを「火の車」といい、また、中国では汽車のことをいう。
【資料】『大智度論』一六、『今昔物語』一五、『宇治拾遺物語』四—三
【参照項目】➡獄卒、牛頭・馬頭
【執筆者:牧達玄】