げんせい/源清
一〇世紀頃、生没年不明。中国宋代の天台学僧。慈光晤恩(九一二—九八六)に師事して天台を学び、銭唐(浙江省杭州市)の奉先寺に住した。雍熙三年(九八六)に『十不二門示珠指』二巻を著し、天台止観を独自の「真心観」をもって解釈し、後の山外派の動きに対して大きな影響を与えた。真心観はいわゆる唯心実相の原理であり、智顗が主張する三法無作の認識とは異なり、心・仏・衆生に能所の関係を認めたことは、のちに知礼から批判された。
【参考】大谷旭雄「法然上人における三部経の選定と呼称」(『法然浄土教とその周縁』坤、山喜房仏書林、二〇〇八)
【執筆者:小林順彦】