おしだしぶつ/押出仏
雄型あるいは雌型に金属の薄板を押し当て、叩いて形を浮き上がらせたもの。鎚鍱仏ともいう。中国に源流があり、隋・唐や日本の奈良時代の作例が知られている。唐代の作例は高度な技術によって小さく複雑な像を精密に叩き出しており、日本のものはこれよりも大型で図像も簡素になる傾向がある。飛鳥・山田寺跡からは唐で製作されたとみられる作例も出土している。壁面に貼り付けた例や、単体で厨子に入れて念持仏とした使用例が知られている。グプタ朝起源の図像もあり、東西交渉史を研究する上でも貴重な資料である。
【執筆者:近藤謙】