戒珠
提供: 新纂浄土宗大辞典
かいしゅ/戒珠
宋・雍熙二年(九八五)—熙寧一〇年(一〇七七)九月二三日。俗姓は黄氏、字は耀之。長楽(現・福建省長楽市)の出身で、子光の弟子となって禅を修め、法界懐要から法をうけて黄檗(福建省)に住した。没後、その遺骨は飛山に葬られたという。法﨟は七三であった。数多くの著作を遺しているが、その中で浄土教に関わる文献に『浄土往生伝』三巻がある。梁、唐、宋の各『高僧伝』をはじめ、一二種の僧伝類の中から七五人の往生人の伝を集め、文意の通らない箇所を修訂して上梓した伝記集である。『仏祖統紀』四七によると、その成立は治平元年(一〇六四)のことであるという。なお、戒珠にはほかに『往生浄土伝』三巻があるが、それは戒珠に仮託された後世の偽撰であることが指摘されている。
【資料】『釈門正統』八(続蔵七五)
【参考】塚本善隆『日中仏教交渉史研究』(『塚本善隆著作集』六、大東出版社、一九七四)
【執筆者:齊藤隆信】