念仏付属
提供: 新纂浄土宗大辞典
ねんぶつふぞく/念仏付属
釈尊が『観経』において、定散の諸行を伝授せず、念仏の一行のみを阿難に伝授し後世に流通させたことをいう。『観経』の終わりに「仏、阿難に告げたまわく。汝好く是の語を持せよ。この語を持せよとは、すなわちこれ無量寿仏の名を持せよとなり」(聖典一・三一四/浄全一・五一)と説かれているのがそれである。『観経』には韋提希夫人の要請に基づいて定散二善が説かれているが、釈尊自らの意として説かれたのは念仏のみであるので、定散二善を随他の教え、念仏を随自の教えという。善導は『観経疏』散善義において「上来定散両門の益を説きたまうといえども、仏の本願に望むれば、意衆生をして一向に専ら弥陀仏の名を称せしむるに在り」(聖典二・三二三~四/浄全二・七一下)と述べている。法然は『選択集』一二において「釈尊諸行を付属したまわざる所以は、すなわちこれ弥陀の本願に非ざるが故なり。また念仏を付属したまう所以は、すなわちこれ弥陀の本願なるが故なり」(聖典三・一七四/昭法全三四三)と述べ、念仏は諸行と異なり阿弥陀仏の本願であるから釈尊が付属することを明らかにしている。
【参照項目】➡付属
【執筆者:曽根宣雄】