定額寺のこと。奈良・平安時代の大寺・国分寺とならぶ寺院制度。皇族や貴族・豪族が私的に建立した寺院を国家が公認し、灯分料稲や修理料稲を与えられたり、檀越の専横を抑制するなどの種々の保護や統制を加えられ、国家体制に組み入れられた。やがて律令制の衰退に伴い、国家からの保護を失い、次第に御願寺制に取って代わられ、一三世紀には名目のみとなった。
【参考】中井真孝「定額寺考」(笠原一男博士還暦記念会編『日本宗教史論集』吉川弘文館、一九七六)
【参照項目】➡御願寺
【執筆者:𠮷水成正】