女犯
提供: 新纂浄土宗大辞典
にょぼん/女犯
僧侶が不邪婬戒を破ること。僧侶は異性と交わり妻帯することは禁じられていたが、妻帯する僧の記事が『日本霊異記』にもしばしば登場するなど、古代から常態化していた。婬戒の厳守が形骸化していたにもかかわらず、中世では女犯が専修念仏教団弾圧の理由ともされた。この事態への憂いを背景に、鎌倉時代には戒律を厳守する律僧などが輩出したが、その一方で親鸞やその子孫は妻帯した。江戸時代には、浄土真宗と当山派修験道を例外として禁じられていたが、明治五年(一八七二)の太政官布告により妻帯は勝手となり現在に至っている。
【参考】石田瑞麿『女犯—聖の性』(筑摩書房、一九九五)、西口順子『女の力—古代の女性と仏教』(平凡社、一九八七)
【参照項目】➡婬戒
【執筆者:東海林良昌】