墨蹟とも書く。1布帛ふはくや紙に墨を使用して書いた真跡全般。2禅宗高僧の墨跡(禅林墨跡)のこと。印可状・法語・偈頌・道号・書簡など目的に応じて内容形式はさまざまである。文人趣味をとり入れて詩文や書画の研鑽を積んだ、来朝・入宋の禅僧が日本にもたらした。その後、茶道と結びつき鑑賞用として尊重され、一国一城をかけて一幅の墨跡に替えるようなこともあった。建長寺開山の蘭渓道隆らんけいどうりゅうや大徳寺開山の宗峰妙超しゅうほうみょうちょうなどのものが著名。
【執筆者:大屋正順】