いろは歌
提供: 新纂浄土宗大辞典
いろはうた/いろは歌
手習いの初めに仮名を覚えるために、異なった音の仮名を集めて七五調四句の今様形式に仕立てたもの。「いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす」。その釈文は「色は匂へど散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ 有為の奥山今日越えて 浅き夢見じ酔ひもせず」。作者は空海に仮託されるが、文献初出は承暦三年(一〇七九)書写の『金光明最勝王経音義』であり、音韻的にも空海作は疑わしい。『涅槃経』の「諸行無常 是生滅法 生滅滅已 寂滅為楽」を意味するとされる。仮名の配列は「いろは順」として近代に至るまで広く用いられた。
【参考】小松英雄『いろはうた』(中公新書、一九七九)
【参照項目】➡有為・無為
【執筆者:伊藤真宏】