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Z1450 即心念仏談義本或問余説 霊空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0318A01: さて定心にて死なずとは。此はいかなることに候や。
Z14_0318A02: 臨終の在決定は。罪惡無智の凡夫の。命𤍠識の滅する
Z14_0318A03: 節にて。觀念も叶はず。やう〱口に唱ふる位なり。
Z14_0318A04: 故に四明も。稱彼佛名。心雖相續。終不見日定
Z14_0318A05: 等と。の玉へり。さるを。深き入定出定などの意を
Z14_0318A06: 以て。十疑の動念を。了簡せらるゝは。いと鑿たるこ
Z14_0318A07: とかと。存候。此一段を。見て謂へるは。彼の書の作
Z14_0318A08: 者は。年久しく聞き及びたる人なれば。學問あがり
Z14_0318A09: て。文字精しく。道理明かに。博覽にもあるべしと。思
Z14_0318A10: ふに。思ひの外なることどもと。驚き入るなり。とか
Z14_0318A11: く世上の學問が。多くは麤きことと。平生嘆かはしく
Z14_0318A12: 思ふことなり。彼の人などさへ。かくの如し。況や其
Z14_0318A13: 餘をや。曇鸞菩薩の。安樂淨土義。略論は。曇鸞の
Z14_0318A14: 眞作なりと云こと。唐の書に。見へたることありや。
Z14_0318A15: 續高僧傳。法苑珠林。往生傳などを見るに。略論の名
Z14_0318A16: 出でず。出でぬは載せぬことも。あるべきか。彼の論
Z14_0318A17: の始終を見るに。慥かに。日本人の。文盲なる人の。書
Z14_0318B01: きたる書と見ゆるなり。文辭甚だ鄙拙にて。顛倒もあ
Z14_0318B02: り。文字の使ひ錯り多し。義理の聞へぬこと。語をな
Z14_0318B03: さぬこと多し。尤も頭書きの板本。文字も損じ。和訓
Z14_0318B04: もあしけれども。本體が。とかく。唐人の筆には非ず
Z14_0318B05: と。見ゆるなり。
Z14_0318B06:   若し曇鸞の眞作ならば。別に其眞本あらん。今現
Z14_0318B07:   行の本は。必定僞作ならん。
Z14_0318B08: 中華には。安樂義は逸したり。此れは推量なりや。唐
Z14_0318B09: の書の何ぞに。出たることなりや。況や談義をや。
Z14_0318B10: 十疑論の中には。論註多く引用し玉ふこと。少時よ
Z14_0318B11: り。存したることなり。略論の僞作なることは。末に
Z14_0318B12: て具さに云べし。 彼云。譬如臈印印泥。印壞文成
Z14_0318B13: 此命斷時。卽是生安樂時。文成印壞すは。本𣵀槃經
Z14_0318B14: の文なり。天台の觀經の疏に云。文成印壞。坐金蓮
Z14_0318B15: 化生すと。必ずしも。曇鸞に依るとは。云ふべからず。
Z14_0318B16: さて此命斷時。卽是生安樂時とは。成論の極善極惡
Z14_0318B17: には。中陰なしと云ふ意。𣵀槃經の。此陰滅時。彼陰續

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