浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0318A01: | さて定心にて死なずとは。此はいかなることに候や。 |
Z14_0318A02: | 臨終の在決定は。罪惡無智の凡夫の。命𤍠識の滅する |
Z14_0318A03: | 節にて。觀念も叶はず。やう〱口に唱ふる位なり。 |
Z14_0318A04: | 故に四明も。稱二彼佛名一。心雖二相續一。終不レ可レ類二見日定 |
Z14_0318A05: | 心一等と。の玉へり。さるを。深き入定出定などの意を |
Z14_0318A06: | 以て。十疑の動念を。了簡せらるゝは。いと鑿たるこ |
Z14_0318A07: | とかと。存候。此一段を。見て謂へるは。彼の書の作 |
Z14_0318A08: | 者は。年久しく聞き及びたる人なれば。學問あがり |
Z14_0318A09: | て。文字精しく。道理明かに。博覽にもあるべしと。思 |
Z14_0318A10: | ふに。思ひの外なることどもと。驚き入るなり。とか |
Z14_0318A11: | く世上の學問が。多くは麤きことと。平生嘆かはしく |
Z14_0318A12: | 思ふことなり。彼の人などさへ。かくの如し。況や其 |
Z14_0318A13: | 餘をや。曇鸞菩薩の。安樂淨土義。略論は。曇鸞の |
Z14_0318A14: | 眞作なりと云こと。唐の書に。見へたることありや。 |
Z14_0318A15: | 續高僧傳。法苑珠林。往生傳などを見るに。略論の名 |
Z14_0318A16: | 出でず。出でぬは載せぬことも。あるべきか。彼の論 |
Z14_0318A17: | の始終を見るに。慥かに。日本人の。文盲なる人の。書 |
Z14_0318B01: | きたる書と見ゆるなり。文辭甚だ鄙拙にて。顛倒もあ |
Z14_0318B02: | り。文字の使ひ錯り多し。義理の聞へぬこと。語をな |
Z14_0318B03: | さぬこと多し。尤も頭書きの板本。文字も損じ。和訓 |
Z14_0318B04: | もあしけれども。本體が。とかく。唐人の筆には非ず |
Z14_0318B05: | と。見ゆるなり。 |
Z14_0318B06: | 若し曇鸞の眞作ならば。別に其眞本あらん。今現 |
Z14_0318B07: | 行の本は。必定僞作ならん。 |
Z14_0318B08: | 中華には。安樂義は逸したり。此れは推量なりや。唐 |
Z14_0318B09: | の書の何ぞに。出たることなりや。況や談義をや。 |
Z14_0318B10: | 十疑論の中には。論註多く引用し玉ふこと。少時よ |
Z14_0318B11: | り。存したることなり。略論の僞作なることは。末に |
Z14_0318B12: | て具さに云べし。 彼云。譬如二臈印印レ泥。印壞文成一。 |
Z14_0318B13: | 此命斷時。卽是生二安樂一時。文成印壞すは。本𣵀槃經 |
Z14_0318B14: | の文なり。天台の觀經の疏に云。文成印壞。坐二金蓮一而 |
Z14_0318B15: | 化生すと。必ずしも。曇鸞に依るとは。云ふべからず。 |
Z14_0318B16: | さて此命斷時。卽是生二安樂一時とは。成論の極善極惡 |
Z14_0318B17: | には。中陰なしと云ふ意。𣵀槃經の。此陰滅時。彼陰續 |