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Z1450 即心念仏談義本或問余説 霊空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0317A01: 卽心念佛談義本或問餘說
Z14_0317A02:
Z14_0317A03: 近比。摘欺說此題號。京邊にては。疑ふもの多し。云云を。見ると云人に。予。
Z14_0317A04: かはりたること。ありやと問。其人。左のみかはりた
Z14_0317A05: ることはなし。其內。加樣加樣のことありと。四五箇
Z14_0317A06: 條語る。其中に。十疑論の。臨終在定の論あり。此れ
Z14_0317A07: は。我家のことなれば。吟味すべしと思ひ。其處を開
Z14_0317A08: かせて。此れを見るに。彼の書に云く。天台の御釋は。
Z14_0317A09: もと曇鸞菩薩の。略論安樂淨土義に。出たり。されば。
Z14_0317A10: 天台。道綽等の。安樂のことを。の玉ふには。皆この義
Z14_0317A11: に依玉へり。然るに中華には。安樂義は逸し。十疑論
Z14_0317A12: は殘りにければ。趙宋以來の諸師。みな此文を見て。
Z14_0317A13: 天台の義かと思へり。況や談義をや。いま根本の。安
Z14_0317A14: 樂義を引て。其意を述べん。彼云。譬如臈印印泥。印
Z14_0317A15: 壞文成。此命斷時。卽是生安樂時と。命斷時とは。則
Z14_0317A16: ち往生論註の。在決定の心なり。この心は。無間心。無
Z14_0317A17: 後心なり。無後心とは。餘念なきを云。故に其心決定
Z14_0317B01: せり。されば。十疑の。在定之心とは。卽ち論註の。在
Z14_0317B02: 決定の心なり。動念とは。卽ち安樂義の。命斷時にて。
Z14_0317B03: 十念纔かに動て。頭を頎る程は。なほ此界にあり。命
Z14_0317B04: 斷ずれば。はや彼の國にいる。故に安樂義には。卽是
Z14_0317B05: 生安樂時と云。十疑には。卽是生淨土時と云。其義全
Z14_0317B06: く同じ。此また。古歌に。もろこしも。夢に見しかは。
Z14_0317B07: 近かりき。思はぬ中ぞ。はるけかりけると。讀る意な
Z14_0317B08: るべし然れば。十疑の在定は。論註の在決定にて。定
Z14_0317B09: 散の定には非ず。因て臈印夢遊の喩。甚だ明かなり。
Z14_0317B10: さて趙宋以來。十疑の文を解するに。其二家あり。一
Z14_0317B11: 者。平生に約す。謂く若心性に。淨土を具せずんば。佛
Z14_0317B12: 應現の理なし。故に卽今。佛を念ずるの心が。便ち當
Z14_0317B13: 來受生の時なりと。云云靈芝。幽溪。みな此見なり。二
Z14_0317B14: 者。臨終に約す。謂く平生。淨業を修すと雖も。最要
Z14_0317B15: は。たゞ臨終の一念に在り。この一念は。定なり。散心
Z14_0317B16: には非ずと。此は足菴の義なり。然るに。此二家。みな
Z14_0317B17: 安樂義の本說を。見られざる故に。頗る依用し難し。

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