浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0002A01: | 之言一と。此御示しを仰ぎて。卽心念佛の荒增を。聞得 |
Z14_0002A02: | たる人は。早く無常を悟りて。卽心念佛の務を。勵ま |
Z14_0002A03: | すべし。其勤の內には。難レ有心深くなることあるべ |
Z14_0002A04: | し。又疑ひ起ることもあるべし。疑ひ起らば。速に師 |
Z14_0002A05: | 家へ。尋ね聞べし。但し談義は。四十九座に過べから |
Z14_0002A06: | ざれども。同じ談義を。幾度も聞ことは。然るべきこ |
Z14_0002A07: | となり。西方重聞。以表レ不レ輕とて。唐土日本の人など |
Z14_0002A08: | は。同じことを。度々聞ば。くどしとて。いやがるな |
Z14_0002A09: | り。天竺の人は。大切のことゆへ。度々仰らると思ひ |
Z14_0002A10: | て。聞ば聞ほど喜ぶなり。日本人も。山ほととぎすは。 |
Z14_0002A11: | 聞度にめづらしと云。卽心念佛を。山ほとゝぎすのや |
Z14_0002A12: | うに。思ふ人は。幾度も此法談を。聞度思ふべし。或人 |
Z14_0002A13: | 問。談義本と云は。童べの玩ぶ。魚の名に似て。いと |
Z14_0002A14: | をかし。余云魚の名にも似よ。談義說の名にも似よ。 |
Z14_0002A15: | それは。苦しからぬこと。唐の書に。講錄の。講本のと |
Z14_0002A16: | 云ふことあり。講釋を書付たる本なり。今は談義の爲 |
Z14_0002A17: | に。書付たる本なれば。談義本と名付くるに。何のと |
Z14_0002B01: | があらんや。時に享保十二年。臘月仲旬。謙靈空。幻々 |
Z14_0002B02: | 菴にて。書付さするものなり。 |
Z14_0002B03: | 卽心念佛起りの事 |
Z14_0002B04: | 抑末世の佛弟子は。極樂往生を求めて。念佛の行を務 |
Z14_0002B05: | むるほど。結構なることはなし。然るに。往生の務め。 |
Z14_0002B06: | 其品多けれども。持名念佛ほど。勤めやすくて。肝要 |
Z14_0002B07: | なるはなし。持名念佛に就ても。理持の念佛。事持の |
Z14_0002B08: | 念佛。其品分れたり。善導。法然の勸めは。一向の事の |
Z14_0002B09: | 念佛なり。吾天台宗の貴む所は。卽心念佛なり。亦約 |
Z14_0002B10: | 心觀佛とも云。亦理持とも云なり。卽心念佛と云は。 |
Z14_0002B11: | 各我等が心は。身の內にあるやうに思はるれども。身 |
Z14_0002B12: | の內にあるやうに思はるゝものは。緣影と云ものに |
Z14_0002B13: | て。本の心には非ず。本の心は。色もなく。形もなく。 |
Z14_0002B14: | 周徧法界とて。どこがかぎり。どこがはてと云ことも |
Z14_0002B15: | なく。いつ始る。いつ終ると云こともなきものなるゆ |
Z14_0002B16: | へ。西方十萬億土の淨土も。彌陀。觀音も。心の外に出 |
Z14_0002B17: | たるものにてはなし。故に淨土も。彌陀も。卽ち我心 |