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J3060 浄土宗史 本会 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0575A01: 京都或は邊鄙の寒寺に隱遁せるか。或は始より檀林
J20_0575A02: 生活に入らざる。所謂無位平僧の手に移れるは奇怪
J20_0575A03: なる現象と云はざるをえず。
J20_0575A04:
J20_0575A05: 第二章 法度制規
J20_0575A06:
J20_0575A07: 一定の法度制規を設けて。社會の秩序を維持し。
J20_0575A08: 社會の活動を圓滑ならしむることは。其社會が或程
J20_0575A09: 度の發達を遂げたる後に至りて始て起る現象なり。
J20_0575A10: 本宗開立以來德川時代に至るまで。凡そ四百有餘年
J20_0575A11: を經過せり。其間冏師が兩脉相傳の形式を定め。白旗
J20_0575A12: 一流の所化は檀林に掛錫して。自他兩宗を研鑽し兩
J20_0575A13: 脉を相承せざるべからざることを規定せりと云ふも。
J20_0575A14: 其規定が白旗流一般に對しても。幾干の權威を有せ
J20_0575A15: しかば盖し疑問なり。況んや他五流に對してをや。
J20_0575A16: 縱令之が一般に遵守せられたりとするも。これだけ
J20_0575A17: にては一宗團體の百般の規律たる能はざるや勿論な
J20_0575B18: り。然れども德川幕府創立以前の本宗の狀態は。既
J20_0575B19: に述べしが如く極めて混沌の中にあり。寺院僧侶の
J20_0575B20: 數極めて少く。且つ其等少數寺院僧侶は。多くは各
J20_0575B21: 地に分散して一定の脉絡交通の機會を有することなか
J20_0575B22: りき。故に此等を統一規定すべき法度の起るに由な
J20_0575B23: く。縱令之を造ることあるも。之を一樣に行はしむる
J20_0575B24: ことは到底不可能なりき。然るに今期に於ては一宗の
J20_0575B25: 狀勢又從來のごとくならず。且德川幕府の宗敎政策
J20_0575B26: は。法度なく制規なき宗旨の存立を許さざるに至ら
J20_0575B27: しめたり。即ち從來數百に過きざりし本宗寺院は一
J20_0575B28: 時に增加して數千の多きに達し。僧侶の數も之に從
J20_0575B29: ひ激增したるを以て。此等寺院と僧侶を統轄して一
J20_0575B30: 宗の體面を維持するには。法度制規の制定の必要な
J20_0575B31: るは言ふまでもなし。加之德川幕府は前代に於ける
J20_0575B32: 諸宗僧兵一揆の弊害に鑑み。諸宗を劃一の法度によ
J20_0575B33: り取締り。支配統御を容易にせんとし。各宗の有力者
J20_0575B34: に命じて之が案文を提出せしめ。自家に都合よく之

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