ウィンドウを閉じる

J3060 浄土宗史 本会 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0570A01: 第三期 大成時代
J20_0570A02:
J20_0570A03: 第一章 概觀
J20_0570A04:
J20_0570A05: 德川以前の本宗は。遺憾ながら虎關が評せし如
J20_0570A06: く。寓宗たるを免かれざりしなり。宗祖は承安五年
J20_0570A07: に聖道門を擱き淨土門を採り。南北八宗以外に淨土
J20_0570A08: 宗の建立を宣言せられたりと雖ども。其衣體行儀に
J20_0570A09: 於ては。本の天台宗の其れと何等異なる所なかり
J20_0570A10: き。故に天台宗より見れば尚惠心。空也等が。念佛を
J20_0570A11: 唱へたると同一にして差別なかりき。二祖三祖また
J20_0570A12: 然り。宗祖二祖三祖の門下の多くもまた然り。故に
J20_0570A13: 天台宗にありて自門中の一異分子と見做して。宗祖
J20_0570A14: 門下が天台宗の寺院に寓居するを怪まざりき。此狀
J20_0570A15: 態は單に天台宗に限らず。其他の眞言。三論。華嚴。
J20_0570A16: 法相の諸宗もまた然り。故に高野に俊乘房重源の念
J20_0570A17: 佛堂を寬容し。禪林寺に善慧房證空の門徒の棲居を
J20_0570B18: 許し。東大寺には圓照凝然師資相ひ次いで宗祖專念
J20_0570B19: の流義を高唱したり。專修念佛の宗徒は。宗祖滅後
J20_0570B20: 日を趁ひて增加し。日本全國に瀰漫したりと雖とも。
J20_0570B21: 其依止する所は概ね如上諸宗の寺院或は其境内な
J20_0570B22: り。是れ當時の淨土宗侶は。多分此等諸宗に成人し
J20_0570B23: たる人人に非れば。此等諸宗出の人人の下に於て出
J20_0570B24: 家し敎養せられたるが故に。自然其本所に依止し。
J20_0570B25: 或は之れに侵入したるものならずんばあらず。是れ
J20_0570B26: は今日本宗に屬する舊院古寺の來歷の語る所に徴
J20_0570B27: しても昭かなり。故に德川以前の本宗は。多くは
J20_0570B28: 諸宗僧侶の旁賛に非れば。諸宗寺院に寄寓せし同居
J20_0570B29: 人の唱道する所なりしと云ふも過言にあらざるな
J20_0570B30: り。
J20_0570B31: 然るに德川時代に至りては。如上の形勢は全く一
J20_0570B32: 變せり。從來諸宗に寄寓せる本宗は。全然獨立し
J20_0570B33: て。專修念佛の宗侶は。其所住の諸宗寺院を改めて
J20_0570B34: 本宗とするに非ざれば。此等寺院を出でで獨立の寺

ウィンドウを閉じる