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J2760 略伝集 本会 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0556A01: しく痊ゆ天保十年己亥三月上旬の頃咽廅腫の症あり
J18_0556A02: 五月中旬氣腫に變症せり同月廿一日法道へ數十件の
J18_0556A03: 遺囑あり皆專修相續の要務自利利他の法門のみにて
J18_0556A04: 塵世長短の事は纎毫も交へす師病縁の初より道情の
J18_0556A05: 勇猛なること平生に十倍し厭欣益熾盛なり七月四日
J18_0556A06: 戌の刻小量の薯湯を喫せられしより以來飴糖瓜菓を
J18_0556A07: も用ひす唯冷水に漱けること日に四五十度されとも
J18_0556A08: 七日まては五萬稱の日課を淨業錄へ自記せられ八日
J18_0556A09: より後は看侍之を代記せり十日よりは念珠をもとら
J18_0556A10: す唯口に任せて念佛せり十一日辰の刻法船庵の衆尼
J18_0556A11: に永訣を告け十念授與遺訓あり同日地下中の耆老數
J18_0556A12: 輩を招きて此大日比は老師光譽上人の願意に報へる
J18_0556A13: 有縁の土地なれは老師西圓寺主職以來一人ものこり
J18_0556A14: なく往生を遂げしことなれば所謂穢土の淨土なり當
J18_0556A15: 地に生るる者は勿論或は結親によりて他より來り又
J18_0556A16: は職業のために假住する者等に至るまて專修の大法
J18_0556A17: に因縁深き者にあらされは住居すること能はさるな
J18_0556B18: り各は斯る因縁熟して受生せし者なれは若も不孝不
J18_0556B19: 義の所行をなし又は國禁を犯して罪せらるるやうの
J18_0556B20: 事あるへからす故に仁義五常の道を守りなるたけ身
J18_0556B21: 持篤實にして專修念佛を相續しそれそれ蓮臺上に倶
J18_0556B22: 會するやうにすへし猶此趣をもて必子孫に申し傳ふ
J18_0556B23: へし等を遺囑せらる同日巳の刻より臨終行儀を整へ
J18_0556B24: んとて自ら頭北面西を命し盥漱して來迎佛に向ひ瞻
J18_0556B25: 仰念佛せらる十二月十三日は唯安祥として來迎佛を
J18_0556B26: 拜し口稱は晝夜無間なりき同十三日未の刻師水を乞
J18_0556B27: ふて盥漱せられ法道和尚を呼ひ師散手にて起せと命
J18_0556B28: す即徐徐と起しまいらすれはその儘法道に打もたれ
J18_0556B29: 合掌しつつ耳を傾けること正しく西の檐端に聲ある
J18_0556B30: を聞けるか如し須臾ありて西に向ひ合掌の手を高く
J18_0556B31: 擧け大賓に向て敬する所あるか如し又散手にて臥
J18_0556B32: さんと命せられ良久ふして又起んと乞はる法道前の
J18_0556B33: 如く起しけれはその儘西方に向ひ合掌して念佛し玉
J18_0556B34: へること凡二三十遍許り最後の三四稱は音聲特に分

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