浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0556A01: | しく痊ゆ天保十年己亥三月上旬の頃咽廅腫の症あり |
J18_0556A02: | 五月中旬氣腫に變症せり同月廿一日法道へ數十件の |
J18_0556A03: | 遺囑あり皆專修相續の要務自利利他の法門のみにて |
J18_0556A04: | 塵世長短の事は纎毫も交へす師病縁の初より道情の |
J18_0556A05: | 勇猛なること平生に十倍し厭欣益熾盛なり七月四日 |
J18_0556A06: | 戌の刻小量の薯湯を喫せられしより以來飴糖瓜菓を |
J18_0556A07: | も用ひす唯冷水に漱けること日に四五十度されとも |
J18_0556A08: | 七日まては五萬稱の日課を淨業錄へ自記せられ八日 |
J18_0556A09: | より後は看侍之を代記せり十日よりは念珠をもとら |
J18_0556A10: | す唯口に任せて念佛せり十一日辰の刻法船庵の衆尼 |
J18_0556A11: | に永訣を告け十念授與遺訓あり同日地下中の耆老數 |
J18_0556A12: | 輩を招きて此大日比は老師光譽上人の願意に報へる |
J18_0556A13: | 有縁の土地なれは老師西圓寺主職以來一人ものこり |
J18_0556A14: | なく往生を遂げしことなれば所謂穢土の淨土なり當 |
J18_0556A15: | 地に生るる者は勿論或は結親によりて他より來り又 |
J18_0556A16: | は職業のために假住する者等に至るまて專修の大法 |
J18_0556A17: | に因縁深き者にあらされは住居すること能はさるな |
J18_0556B18: | り各は斯る因縁熟して受生せし者なれは若も不孝不 |
J18_0556B19: | 義の所行をなし又は國禁を犯して罪せらるるやうの |
J18_0556B20: | 事あるへからす故に仁義五常の道を守りなるたけ身 |
J18_0556B21: | 持篤實にして專修念佛を相續しそれそれ蓮臺上に倶 |
J18_0556B22: | 會するやうにすへし猶此趣をもて必子孫に申し傳ふ |
J18_0556B23: | へし等を遺囑せらる同日巳の刻より臨終行儀を整へ |
J18_0556B24: | んとて自ら頭北面西を命し盥漱して來迎佛に向ひ瞻 |
J18_0556B25: | 仰念佛せらる十二月十三日は唯安祥として來迎佛を |
J18_0556B26: | 拜し口稱は晝夜無間なりき同十三日未の刻師水を乞 |
J18_0556B27: | ふて盥漱せられ法道和尚を呼ひ師散手にて起せと命 |
J18_0556B28: | す即徐徐と起しまいらすれはその儘法道に打もたれ |
J18_0556B29: | 合掌しつつ耳を傾けること正しく西の檐端に聲ある |
J18_0556B30: | を聞けるか如し須臾ありて西に向ひ合掌の手を高く |
J18_0556B31: | 擧け大賓に向て敬する所あるか如し又散手にて臥 |
J18_0556B32: | さんと命せられ良久ふして又起んと乞はる法道前の |
J18_0556B33: | 如く起しけれはその儘西方に向ひ合掌して念佛し玉 |
J18_0556B34: | へること凡二三十遍許り最後の三四稱は音聲特に分 |