浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0429A01: | 時に法を聞て。樂のみありて。苦の名をだにきく事 |
J18_0429A02: | なく。證得不退入三賢の菩薩となるにたとふ。必必 |
J18_0429A03: | 安心起行を違て。流轉生死の族に與する事なかれ。 |
J18_0429A04: | 淨土の安心起行といふ事は。南無阿彌陀佛と申せ |
J18_0429A05: | ば。我如き罪深ものも。本願に乘ずるが故に。往生 |
J18_0429A06: | するに違ひなしと。おもひ定むるが安心。それより |
J18_0429A07: | おこたらず稱るを起行といふ。此外には別の子細候 |
J18_0429A08: | はず。ただ日日食を飡ふごとくに心得べし。まづこ |
J18_0429A09: | の食は饑をたすくるものと知たるが安心なり。夫よ |
J18_0429A10: | り箸をとりて食ふが起行也。空腹なる時に。ただ食 |
J18_0429A11: | ばやとおもふばかりにては。决して腹に盈たぬな |
J18_0429A12: | り。飢饑の年には。盜ても喰ふものあり。是を飯の |
J18_0429A13: | 安心起行利益といふなり。淨土の法門も信ずれば往 |
J18_0429A14: | 生すといふ安心を。决定したるばかりにては。往生 |
J18_0429A15: | はならぬ也。必箸を取て食するに等しく。おこたら |
J18_0429A16: | ず名號を唱ふるなり。又數遍を制止するは。食は唯 |
J18_0429A17: | 一口なるべし。餘分はわろしと制するが如し。三界 |
J18_0429B18: | の窮子は隱しても稱ふべし。又食事は。日日の飢を |
J18_0429B19: | 治す。念佛は永劫の重病を治す。また此食ははづか |
J18_0429B20: | に五十年百年の命をたすく。念佛は彌陀佛國に生れ |
J18_0429B21: | て。量なき壽命をたもつなり。 |
J18_0429B22: | 又曰。生生世世。父母の因縁ある事を示すべし。今 |
J18_0429B23: | 日かくの如く道塲に集會したるものは。皆是德本が |
J18_0429B24: | 爲には。久遠塵點劫の父母なり。ちちははの因縁な |
J18_0429B25: | きものは來らぬなり。若我をそしりなどして來らざ |
J18_0429B26: | るは。我昔不孝なりし父母なるべし。其不孝の習氣 |
J18_0429B27: | の殘りて。さていま德本が名を聞ても。猶腹だち瞋 |
J18_0429B28: | るなり。德本いま懺悔して。むかしの不孝ゆるされ |
J18_0429B29: | よとて。南無阿彌陀佛と稱るぞ。さるほどに。本 |
J18_0429B30: | 尊。彼心を開き。意を解て。やがて又親子の對面す |
J18_0429B31: | べき事になるべし。いまよろこびてあつまり詣たる |
J18_0429B32: | ものは。此方むかし孝行をしたりし。その習氣が殘 |
J18_0429B33: | て。何となくなつかしくて。行者とは如何なる人 |
J18_0429B34: | ぞ。見て來んなといひて。來れる人なり。かくいは |