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J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0428A01: れば。臨終も亦平生に異なる事なかるべし。されば
J18_0428A02: 臨終は一期の大事なり。能能思量りて平素に勵勤ら
J18_0428A03: るべし。安心起行の趣を綱引にて示さば。大綱の總括
J18_0428A04: の所を阿彌陀如來にたとふべし。名號唱ふるは。即
J18_0428A05: この綱たぐりて行なり。疑なく往生すと定むるを。
J18_0428A06: 安心といふ。日課をさだめて稱るを。起行といふ。
J18_0428A07: この起行の綱をたぐりてゆく時は。是非に極樂の七
J18_0428A08: 重羅網を見るにいたる。若好て地獄へ行ばやと思は
J18_0428A09: ば。决して名號を稱申まじき也。一たび南無阿彌陀
J18_0428A10: 佛と申たる人は。因果必然。極樂の外へは行べき處
J18_0428A11: なき也。
J18_0428A12: 幾たび申ても。同じ念佛なりなどいはば。年ごろお
J18_0428A13: なじ食物を飡。同じ月日を送り。おなじ春秋にうつ
J18_0428A14: され。おなじ太平の御代に住なるを。念佛をのみ。
J18_0428A15: 同じ事すとそしるは。佛法の修行にあきたらんひと
J18_0428A16: なるべし。
J18_0428A17: 又曰。このごろ。德本といふ念佛の行者が出て。勝
J18_0428B18: 尾寺二階堂にて念佛會あり。いざ參詣せばやとおも
J18_0428B19: ふぞ。やがて淨土を願ふ宗旨を安心也。夫より遠も
J18_0428B20: 近もあゆみ來るが。起行なり。其道すがらあらぬ四
J18_0428B21: 方やまの物がたりもし。或は川あり。船有。山坂あ
J18_0428B22: り。道に狹あり。廣あり。田畑有り。花あり。草あ
J18_0428B23: り。見るにつけ。聞に附て。無量の妄念競起るべ
J18_0428B24: し。しかれども。唯始勝尾へ參らんと願をおこし
J18_0428B25: て。あゆみを。はこびし故に。遂に此道塲へに參つ
J18_0428B26: く也。極樂往生もその如し。安心决定せし上は。念
J18_0428B27: 念に極樂へあゆみ。淨土へとのみはおもはれず。異
J18_0428B28: 念妄想ながらも。唯稱るにおこたらざれば或は音樂
J18_0428B29: を聞。あるひは夢に淨土の莊嚴を見る。これは此寺
J18_0428B30: へ近づきたるころ。鉦皷の音。念佛の聲を聞が如
J18_0428B31: く。また正しくここへ來て。大衆とともに念佛し。
J18_0428B32: 聞法の會坐につらなるは。やがて此世の命盡て。始
J18_0428B33: て淨土に至り。觀音勢至文殊普賢の大菩薩。および
J18_0428B34: 海會の諸聖衆とともに。阿彌陀佛の御前において長

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