浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0428A01: | れば。臨終も亦平生に異なる事なかるべし。されば |
J18_0428A02: | 臨終は一期の大事なり。能能思量りて平素に勵勤ら |
J18_0428A03: | るべし。安心起行の趣を綱引にて示さば。大綱の總括 |
J18_0428A04: | の所を阿彌陀如來にたとふべし。名號唱ふるは。即 |
J18_0428A05: | この綱たぐりて行なり。疑なく往生すと定むるを。 |
J18_0428A06: | 安心といふ。日課をさだめて稱るを。起行といふ。 |
J18_0428A07: | この起行の綱をたぐりてゆく時は。是非に極樂の七 |
J18_0428A08: | 重羅網を見るにいたる。若好て地獄へ行ばやと思は |
J18_0428A09: | ば。决して名號を稱申まじき也。一たび南無阿彌陀 |
J18_0428A10: | 佛と申たる人は。因果必然。極樂の外へは行べき處 |
J18_0428A11: | なき也。 |
J18_0428A12: | 幾たび申ても。同じ念佛なりなどいはば。年ごろお |
J18_0428A13: | なじ食物を飡。同じ月日を送り。おなじ春秋にうつ |
J18_0428A14: | され。おなじ太平の御代に住なるを。念佛をのみ。 |
J18_0428A15: | 同じ事すとそしるは。佛法の修行にあきたらんひと |
J18_0428A16: | なるべし。 |
J18_0428A17: | 又曰。このごろ。德本といふ念佛の行者が出て。勝 |
J18_0428B18: | 尾寺二階堂にて念佛會あり。いざ參詣せばやとおも |
J18_0428B19: | ふぞ。やがて淨土を願ふ宗旨を安心也。夫より遠も |
J18_0428B20: | 近もあゆみ來るが。起行なり。其道すがらあらぬ四 |
J18_0428B21: | 方やまの物がたりもし。或は川あり。船有。山坂あ |
J18_0428B22: | り。道に狹あり。廣あり。田畑有り。花あり。草あ |
J18_0428B23: | り。見るにつけ。聞に附て。無量の妄念競起るべ |
J18_0428B24: | し。しかれども。唯始勝尾へ參らんと願をおこし |
J18_0428B25: | て。あゆみを。はこびし故に。遂に此道塲へに參つ |
J18_0428B26: | く也。極樂往生もその如し。安心决定せし上は。念 |
J18_0428B27: | 念に極樂へあゆみ。淨土へとのみはおもはれず。異 |
J18_0428B28: | 念妄想ながらも。唯稱るにおこたらざれば或は音樂 |
J18_0428B29: | を聞。あるひは夢に淨土の莊嚴を見る。これは此寺 |
J18_0428B30: | へ近づきたるころ。鉦皷の音。念佛の聲を聞が如 |
J18_0428B31: | く。また正しくここへ來て。大衆とともに念佛し。 |
J18_0428B32: | 聞法の會坐につらなるは。やがて此世の命盡て。始 |
J18_0428B33: | て淨土に至り。觀音勢至文殊普賢の大菩薩。および |
J18_0428B34: | 海會の諸聖衆とともに。阿彌陀佛の御前において長 |