浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0355A01: | き。 |
J18_0355A02: | 師衆を攝し。他を警策せらるるには。その機根に對 |
J18_0355A03: | して。まづ佛門の通規に順じて。觀念座禪の法なん |
J18_0355A04: | どをも敎示し。持戒讀誦をも勸入せらるれども。その |
J18_0355A05: | 自行には。一向專修の但念佛のみ。申し來りまうしさ |
J18_0355A06: | らるるありさま。あたかも一丁字をしらざる愚夫の |
J18_0355A07: | ごとし。時ありて本願深重のものがたりなんどに |
J18_0355A08: | は。生死解脱時既にいたれり。みづから慶にあまり |
J18_0355A09: | ありとて。落涙せらるるさま。いとたふとかりき。 |
J18_0355A10: | 師。佛像經卷を。尊崇せらるること尤ふかし。佛菩 |
J18_0355A11: | 薩の形像にむかへば。大賓に對するがごとく經論を |
J18_0355A12: | とりては。頂戴して佛恩を思念せらるるさまなり |
J18_0355A13: | き。されば常のことばにも。佛經は如來の權智慈光 |
J18_0355A14: | 凝結せるなり。このゆえにしばらくも。耳にきき口 |
J18_0355A15: | に誦ずれば。佛種子を引出す。よむことあたはざる |
J18_0355A16: | ものは。ただ常に頂戴恭敬すべし。 |
J18_0355A17: | 師。智惠光院にて。本尊の座光をみづから洗浴せら |
J18_0355B18: | れしとき。一夜佛像を戸壁にもたし置れしが。その |
J18_0355B19: | 夜はいねずして。戰戰兢兢として。念佛して夜をあ |
J18_0355B20: | かされき。これらにて。その事狀を察すべし。 |
J18_0355B21: | 師。事に臨で。即時に決斷決擇せらるること。もと |
J18_0355B22: | も速なり。またその他に對しても。機辨敏捷なるこ |
J18_0355B23: | と常人にこえたり。このゆえにその都鑑の職にあり |
J18_0355B24: | しときも。人あるひはにくみそしり。讎敵のごとく |
J18_0355B25: | 思へるものあり。また親みほめて。骨肉のごとくお |
J18_0355B26: | もふものあり。師つねに笑ていはく。おのれが得か |
J18_0355B27: | たに人をほめそしるは。庸愚の人情のみ。いかんと |
J18_0355B28: | もせんすべなしと。 |
J18_0355B29: | 師。説法せらるるには。直に經論祖釋をのべて。説 |
J18_0355B30: | 草といふものなし。しかれども法譬因縁。辨釋分明 |
J18_0355B31: | にて。智者もあなどらず。愚者もよく會得せり。さ |
J18_0355B32: | て因縁説は。あたかもその世。その時にありて。目 |
J18_0355B33: | のあたりその事實を。見るがごとく辨ぜられしか |
J18_0355B34: | ば。長話といへども。きくもの食頃の思ひをなせ |