浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0356A01: | り。 |
J18_0356A02: | 師。その先師戒譽和尚。及び兩親のことを語りいで |
J18_0356A03: | では。落涙せらる。またその毎月の忌日には。前夜 |
J18_0356A04: | より殊さら精修して。當日には。みだりに言葉をも |
J18_0356A05: | 出されず。このゆえにその日は。弟子等も。殊さら |
J18_0356A06: | に畏敬戒愼せり。 |
J18_0356A07: | 師。尼弟子を度せられしことなし。たまたま發心し |
J18_0356A08: | て剃髮を願ふものには。本願たのもしく。念佛大利 |
J18_0356A09: | あることを説示して。その落髮は制せられけり。み |
J18_0356A10: | づからいはく。佛の萬德圓滿なるすら尼を度して。 |
J18_0356A11: | 正法五百年减ぜりとの給へり。况や末代の凡僧は。 |
J18_0356A12: | 誓て尼弟子を持べからず。譏嫌をまもり。正法を護 |
J18_0356A13: | 持せんと欲するもの。よろしく用心すべし。 |
J18_0356A14: | 師。婬肉の念ある風情なし。壯年より奉侍せる弟子 |
J18_0356A15: | 等も。そのよく淸淨なる事狀を尊崇せり。或時しめ |
J18_0356A16: | して云。婬肉すら斷れざるは。菩提心の。眞實なら |
J18_0356A17: | ざるなり。若はつかにも。婬肉の念發らば。たちま |
J18_0356B18: | ち鐵鎚をもて。石上にて。生支を打ひしぐべし。舌 |
J18_0356B19: | 頭をかみきりて死すべしとおもふべし。尊無過上の |
J18_0356B20: | 佛子として。婬女にたはぶれ。魚鳥の肉を喰ふなん |
J18_0356B21: | どやうの風情にては。實に出家のかひもなきことな |
J18_0356B22: | りと。はげしく誓願を發すべきなり。 |
J18_0356B23: | 師。但州京師にて。すべて信施の多少の出納をはか |
J18_0356B24: | らるることなし。皆隨侍のものに一任して。みづか |
J18_0356B25: | ら忘れたるがごとし。たまたま不足なるを尋求する |
J18_0356B26: | をききては。さまでにせずともすみぬべし。しひて |
J18_0356B27: | 算數するは。出家の所應にあらずとて。いたく制誡 |
J18_0356B28: | せられけり。しかれども財寶散失することなく。生涯 |
J18_0356B29: | 自由なりけるも一德といふべし。 |
J18_0356B30: | 師。專念寺にて。ある夜讀書せられしに。鼠大にさは |
J18_0356B31: | ぎて。けしからぬ音しければ。師聲をはげましてい |
J18_0356B32: | はく。鼠よ鼠よ我讀書のさまたげなしそ。ただし |
J18_0356B33: | づかなるべしと制せられしかば。その言下にたちま |
J18_0356B34: | ち。しづまりてさはがざりけり眞氣ものにせまる。 |