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J2530 称念上人行状記 妙阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0677A01: 塲の法式廢捨すこれによつて條法を出しけれは非分
J17_0677A02: の沙汰に落て追放に及へりかく成過ぬれは此一軸い
J17_0677A03: かかなり行べきもはかりがたく開山已來の法令一時
J17_0677A04: に灰燼となさんも恐れありと密に持參し侍る御由緖
J17_0677A05: の一心院宮御代代の御菩提所也の事外ならす御賴申なり後來好時
J17_0677A06: 節ありなんとき一心院寶藏へふたたひ御藏め給へか
J17_0677A07: しといと懇に賴み置けるか亡父此事生平に曾て沙汰
J17_0677A08: もなく秘めおきしか末期にのぞんてくはしく遺屬あ
J17_0677A09: りきしかりといへとも一心院世代間もなく十三代か
J17_0677A10: はりてさたかならねはむなしく歳月五十九年を經た
J17_0677A11: り足下の事當院興隆の志も見うけ侍れは隨喜して渡
J17_0677A12: し參らすあはれ開山上人の法式もむかしに歸りなん
J17_0677A13: 事を願侍ると不思議に開山已來の法式ふたたひ當山
J17_0677A14: に納りぬ寶曆八年八月廿二日宮内卿も命過ありて德升院法眼明譽俊雅禪定門となき名の數に入られかかる功有人なれは後
J17_0677A15: 來增道回願のために法號をしるすつらつら開山上人一代の御行狀を窺ひ
J17_0677A16: 奉るに深く浮世の名聞をいとひ墨染の法衣のみにし
J17_0677A17: て餘長なく 勅許は蒙り玉ひなから香衣は淨安寺に
J17_0677B18: ととめ置檀林師家の錦襽織金の類ひはさら也官寺の
J17_0677B19: ことく香衣の類は用ひ給はす所修の行法は稱名一行
J17_0677B20: の外四種の助業もさしおき法中の道具たる鐃鈸等の
J17_0677B21: 梵樂法器の類ものそき但伏鐘をうちて勤玉ふ委くは
J17_0677B22: 稱憶凝念兩和尚の法令に見えたり又吾開山の流をく
J17_0677B23: める門下にをいて官寺に混ぜらるるは開山の素意を
J17_0677B24: 失へるに似たり智識分は檀林の軌則をまもり又一寺
J17_0677B25: 一院の子房寮舍はその本房の軌則に隨ひ其外剃髮染
J17_0677B26: 衣して庵室に籠り或は寺院の別時長時の作法を勤る
J17_0677B27: 板頭及ひ衆僧にいたるまて一度は一心院に登山して
J17_0677B28: 別時勤行の法令を受其軌則をもちて常行を勤る古法
J17_0677B29: なるに近世は他方より來ものもなく此軌則を傳るも
J17_0677B30: のなきは門下を初として開山上人の法令をまもるも
J17_0677B31: のすくなく法式を知らされは自然と放逸になりぬ斯
J17_0677B32: なりはてぬる事悲しむに餘りあり中頃まては當山の
J17_0677B33: 法式も嚴密なりしかど近年は護持のものすくなし他
J17_0677B34: 國近郷には今に上人の示敎を守り捨世の淸規を持つ

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