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J2530 称念上人行状記 妙阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0653A01: 稱念上人行狀記卷下
J17_0653A02: 玅阿 集記
J17_0653A03: 淀納所念佛寺の事
J17_0653A04: 舊記云山城國紀伊郡淀の納所念佛寺は納所の住人河
J17_0653A05: 村與三左衞門尉高雄といひし人ふかく上人に歸依し
J17_0653A06: 渴仰他事なかりき或とき申けるは年比安心の趣は決
J17_0653A07: 定いたし心腑に納め落著せりしかるに武門の習ひ戰
J17_0653A08: 塲にのぞみてはたがひに戈を交へ勝ん事をのみおも
J17_0653A09: ふ左あらん時は修羅のたねを植て後世の苦患遁れが
J17_0653A10: たかるべしかやうのときはいかなる安心に住して戰
J17_0653A11: はん此事あはれさとし給へと有ければ上人宣く今尋
J17_0653A12: らるる趣はまたく法然上人の御在世に甘糟太郞忠綱
J17_0653A13: が所問にひとし夫弓箭をたづさへ戰塲におもくは武
J17_0653A14: 士の常なり命は泰山よりおもく千金にもかへがたし
J17_0653A15: といへども忠義にのそみては鵝毛よりもかろく塵芥
J17_0653A16: のごとく捨るは武門のならひなれば實にもつとも肝
J17_0653A17: 要の尋ねなり抑我彌陀の本誓は機の善惡をいはず行
J17_0653B18: の多少を論ぜず身の淨不淨をもえらばず時處所縁を
J17_0653B19: きらひ給はず又死の縁にもよらず罪人は罪人ながら
J17_0653B20: 名號を唱ふれば往生す是本願の不思議なり弓箭の家
J17_0653B21: に生れ戰塲にのそみたかひにたたかひ命を失ふとも
J17_0653B22: 念佛せは本願に乘し來迎に預ん事努努うたがふべか
J17_0653B23: らす全く惡念やめて稱名せよとは本願に誓給はず十
J17_0653B24: 方衆生の言はひろく善惡男女もるる事なし惡人なれ
J17_0653B25: はこそ彌陀をたのみ奉れ善人ならは強て賴む事なく
J17_0653B26: ても可ならんもし戰塲に向ひ弓をひき矢をはなつに
J17_0653B27: も南無阿彌陀佛の御名を唱へ劍戟をふるひ戰ふにも
J17_0653B28: 念佛を忘れす稱すへし念佛に諸佛護念の益あり利劍
J17_0653B29: 即是彌陀號なれはいかなる猛勇も退散すべし安心決
J17_0653B30: 定の人の前には聖衆も立撮即行とて足をつまだて來
J17_0653B31: 迎し給へばとにもかくにも息のかよひ命あらん限は
J17_0653B32: 念佛怠り給ふことなかれ何そただ病の床にふし安祥
J17_0653B33: として往生をまつのみならんや死縁無量なれは何れ
J17_0653B34: の身にもあるべき事なれは唯安心決定して稱名怠る

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