浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0653A01: | 稱念上人行狀記卷下 |
J17_0653A02: | 玅阿 集記 |
J17_0653A03: | 淀納所念佛寺の事 |
J17_0653A04: | 舊記云山城國紀伊郡淀の納所念佛寺は納所の住人河 |
J17_0653A05: | 村與三左衞門尉高雄といひし人ふかく上人に歸依し |
J17_0653A06: | 渴仰他事なかりき或とき申けるは年比安心の趣は決 |
J17_0653A07: | 定いたし心腑に納め落著せりしかるに武門の習ひ戰 |
J17_0653A08: | 塲にのぞみてはたがひに戈を交へ勝ん事をのみおも |
J17_0653A09: | ふ左あらん時は修羅のたねを植て後世の苦患遁れが |
J17_0653A10: | たかるべしかやうのときはいかなる安心に住して戰 |
J17_0653A11: | はん此事あはれさとし給へと有ければ上人宣く今尋 |
J17_0653A12: | らるる趣はまたく法然上人の御在世に甘糟太郞忠綱 |
J17_0653A13: | が所問にひとし夫弓箭をたづさへ戰塲におもくは武 |
J17_0653A14: | 士の常なり命は泰山よりおもく千金にもかへがたし |
J17_0653A15: | といへども忠義にのそみては鵝毛よりもかろく塵芥 |
J17_0653A16: | のごとく捨るは武門のならひなれば實にもつとも肝 |
J17_0653A17: | 要の尋ねなり抑我彌陀の本誓は機の善惡をいはず行 |
J17_0653B18: | の多少を論ぜず身の淨不淨をもえらばず時處所縁を |
J17_0653B19: | きらひ給はず又死の縁にもよらず罪人は罪人ながら |
J17_0653B20: | 名號を唱ふれば往生す是本願の不思議なり弓箭の家 |
J17_0653B21: | に生れ戰塲にのそみたかひにたたかひ命を失ふとも |
J17_0653B22: | 念佛せは本願に乘し來迎に預ん事努努うたがふべか |
J17_0653B23: | らす全く惡念やめて稱名せよとは本願に誓給はず十 |
J17_0653B24: | 方衆生の言はひろく善惡男女もるる事なし惡人なれ |
J17_0653B25: | はこそ彌陀をたのみ奉れ善人ならは強て賴む事なく |
J17_0653B26: | ても可ならんもし戰塲に向ひ弓をひき矢をはなつに |
J17_0653B27: | も南無阿彌陀佛の御名を唱へ劍戟をふるひ戰ふにも |
J17_0653B28: | 念佛を忘れす稱すへし念佛に諸佛護念の益あり利劍 |
J17_0653B29: | 即是彌陀號なれはいかなる猛勇も退散すべし安心決 |
J17_0653B30: | 定の人の前には聖衆も立撮即行とて足をつまだて來 |
J17_0653B31: | 迎し給へばとにもかくにも息のかよひ命あらん限は |
J17_0653B32: | 念佛怠り給ふことなかれ何そただ病の床にふし安祥 |
J17_0653B33: | として往生をまつのみならんや死縁無量なれは何れ |
J17_0653B34: | の身にもあるべき事なれは唯安心決定して稱名怠る |