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J2530 称念上人行状記 妙阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0651A01: 七十二歳ニテ元祿九年十一月五日ウツシヲキ侍ルヲ採リ集メテ誌ス。
J17_0651A02: 桂川極樂寺の事
J17_0651A03: 城州葛野郡下桂村極樂寺は天文十八年の春桂川の邊
J17_0651A04: りなる道俗男女上人の德光をきき朝に來りては弘願
J17_0651A05: の廣大なる功德をきき夕にかへりては專修の門に入
J17_0651A06: けるもの多かりし中に於て下桂の里に中路一岐とて
J17_0651A07: 近郷を領せし郷士有けりふかく上人の敎に歸依し親
J17_0651A08: 族門徒を勸めていはく東山上人の敎誡骨髓に通徹し
J17_0651A09: て有がたく覺ゆる也いさや一寺を建立し上人を請し
J17_0651A10: 申はやとありしかは一門の人人申けるは我等もかね
J17_0651A11: てさは思ひ侍りしかと足下の心を思ひはかりて過に
J17_0651A12: きさらはいそき精舍を營み給へと云けるに一岐は歡
J17_0651A13: 喜身にあまり東山に來りかくともふしければ上人も
J17_0651A14: 隨喜し玉ひすなはち彼里にいたり一岐の館におゐて
J17_0651A15: なを念佛の安心淨土の用心をかたり給へは聽聞のや
J17_0651A16: から信心决定して幼兒の悲母を慕ふがごとくしばし
J17_0651A17: 逗留のうちはや斧をはじめ人夫大勢打かかり不日に
J17_0651B18: 一宇を建立し上人に奉りけりかくて一寺の道具も調
J17_0651B19: しかは上人彼所にいたり玉ひ別に落慶入佛の會式も
J17_0651B20: なく唯稱名念佛の一行にて供養を遂給ひすなはち東
J17_0651B21: 山より西にわたりて遠からされは去時一念即到の御
J17_0651B22: 意にや極樂寺と名けたまひける其砌或もの申やう堂
J17_0651B23: 塔は宗宗に其式法ありて或は散華灑水繚堂歌唄奉請
J17_0651B24: 啓白あり莊嚴には幢幡天蓋など美を盡し百味五果の
J17_0651B25: 珍膳を備ししかるにさせる莊嚴の設けなく何の式法
J17_0651B26: もあらで念佛ばかり唱へて供養せられしはまことに
J17_0651B27: 無智の道心者のしはざなりと罵りけるを聞ける人あ
J17_0651B28: りのままに上人に告げ申けれは上人の宣く實に我は
J17_0651B29: 無智の道心者なり供養法事の式はいざしらず我宗の
J17_0651B30: 如來の本願にあらず尤淨土所依の經にも懸繒燃燈散
J17_0651B31: 華燒香と説給へとも正く隨自意の時に至りては念佛
J17_0651B32: の一法を説き又無量壽經等に菩提心等の諸行を説給
J17_0651B33: へとも隨自意に約するときは一向專念無量壽佛と説
J17_0651B34: 給ふこと正しく三經の宗致淨宗の要行なり故に念佛

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