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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0211A01: ふ事五六度におよぶ間。佛の來り給ふかと看病の人
J17_0211A02: びと問奉れば。然なりと答給ふ。其日より念佛いよ
J17_0211A03: いよ懇なり。
J17_0211A04: 韋提希夫人事
J17_0211A05: 同廿二日。看病の人びと或は休息し。或は白地に立
J17_0211A06: 出。折節勢觀上人ただ一人看病し給ふ時に。氣高げ
J17_0211A07: なる女房の。車にのりて來臨して。上人の見參に入
J17_0211A08: べきよしを申されける。但僧衆をのけらるべしとあ
J17_0211A09: れば。勢觀上人は。たちのき給ひながら。あたりち
J17_0211A10: かく退けるに。此女房申されけるは。いかにくるし
J17_0211A11: く思召侍るらん。此事をのみ歎き申つる也。この藥
J17_0211A12: を用らるべしとて。藥を奉らる。また淨土の法門は
J17_0211A13: いかに御定め候ぞと申されければ。選擇集といふ文
J17_0211A14: をつくりて候へば。此文に違はず申侍らん。連つら
J17_0211A15: 源空が義なるべしと返答せられければ。さては目出
J17_0211A16: たくぞ候とて。數御物語ありてかへられぬ。此時に
J17_0211A17: 勢觀上人あやしみて見送り給ふに。川原へ出。上へ
J17_0211B18: 向て上られけるが。忽然として見え給はざりけれ
J17_0211B19: ば。歸りて上人にたづね申されけるに。其こそ韋提
J17_0211B20: 希夫人よと仰られければ。いづくにおはしまし候ぞ
J17_0211B21: と重て申けるに。賀茂の邊にありとぞ答給ひける。
J17_0211B22: 賀茂の大明神の本地を知る人なし。而に今の仰のご
J17_0211B23: どきは。計知ぬ賀茂の大明神は韋提希夫人也と云ふ
J17_0211B24: 事を。さて勢觀上人いよいよ信ふかくして。御形見
J17_0211B25: に念佛の安心の肝要を一筆給らんと申されければ。
J17_0211B26: 御自筆に注し給せける狀に云。もろこし我朝に諸の
J17_0211B27: 智者達の沙汰し申さるる觀念の念にも非ず。又學問
J17_0211B28: をして念の心をさとりて申念佛にもあらず。ただ往
J17_0211B29: 生極樂のためには。南無阿彌陀佛と申て。疑なく往
J17_0211B30: 生するぞと。おもひとりて申外には別の子細候は
J17_0211B31: ず。但三心四修など申事の候は。みな決定して南無
J17_0211B32: 阿彌陀佛にて往生するぞとおもふうちにこもり候
J17_0211B33: 也。此外奧ふかき事を存ぜば。二尊の御あはれみに
J17_0211B34: はづれ。本願にもれ候べし。念佛を信ぜん人は。た

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