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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0143A01: 佛は。念念ごとに佛の御意に叶ひ候など申けるを。
J17_0143A02: いかなればと。上人返し問せ給ひければ。智者にて
J17_0143A03: おはしませば。名號の功德をも悉くしろしめし。本
J17_0143A04: 願の樣をも明に御心得あるゆへにと申ける時。汝本
J17_0143A05: 願を信ずる事まだしかりけり。彌陀如來の本願の名
J17_0143A06: 號は。木こり草かり。なつみ水くむたぐひのごとき
J17_0143A07: の。内外ともにかけて一文不通なるが。唱れば必生
J17_0143A08: ると信じて。眞實にねがひ。常に念佛申を最上の機
J17_0143A09: とす。若智惠をもつて生死を可離ば。源空いかでか
J17_0143A10: 彼聖道門を捨て。此淨土門に可趣哉。當知聖道門
J17_0143A11: の修行は。智惠を究めて離生死。淨土門の修行は。
J17_0143A12: 愚痴に歸りて生極樂。又或は天台宗の人問奉て云。
J17_0143A13: 佛敎多門にて生死を出る道一にあらず。其中に聖道
J17_0143A14: 門は法花に須臾聞之即得究竟ともいひ。取證如反掌
J17_0143A15: ともいへる一類頓悟の類は暫くこれを指置。敎の掟
J17_0143A16: に付て。次位の階級を定め。修行の方軌を明らめた
J17_0143A17: るには。十信萬劫の修行を送て後。無生忍の位に叶
J17_0143B18: と談ぜり。然に淨土門に十惡五逆をつくる罪惡の凡
J17_0143B19: 夫なれども。知識の敎をうけて。纔に一念十念の口
J17_0143B20: 稱念佛に依て忽に報土得生の益を得て。刹那の間に
J17_0143B21: たやすく無生忍の位に叶といへる事。大に不審にて
J17_0143B22: 候。抑六字の名號にて。いかなる功力の候へば。萬
J17_0143B23: 行にこえてかかる不思議の奇特をば備候やらんと。
J17_0143B24: 上人答給はく。彌陀因位の時。一切衆生に代りて。
J17_0143B25: 兆載永劫の間。六度萬行。諸波羅蜜の一切の行を修
J17_0143B26: して。其功德を悉く六字の名號に納られたる間。萬
J17_0143B27: 行萬善諸波羅蜜。三世十方の諸佛の功德の。六字の
J17_0143B28: 名號にもれたるはなし。故に是を極善最上の法とも
J17_0143B29: 名く。されば惠心僧都の。因行果德。自利利他。内
J17_0143B30: 證外用。依報正報。恆沙塵數。無邊法門。十方三世。
J17_0143B31: 諸佛功德。皆悉攝在。六字之中。是故稱名。功德無
J17_0143B32: 盡と判じ給へるは此心也。彌陀の本願に。此名號を
J17_0143B33: 唱へて極樂に生れんと願はん衆生をば。聖衆ととも
J17_0143B34: に來て迎接すべし。此願若成就すまじくば。衆生と

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