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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0142A01: をもて。のどをうるほす計に。命をひかへて侍也。
J17_0142A02: この書に一向に念佛を勸られたるにたがはず。五濁
J17_0142A03: 濫漫の世には。佛の利益も次第に滅す。この頃はあ
J17_0142A04: まりに代くだりて。我等は重病人のごとし。三論法
J17_0142A05: 相の柑子。橘もくはれず。眞言止觀の梨子。柹もく
J17_0142A06: はれねば。念佛三昧のうきうきにて。生死を出べき
J17_0142A07: 也とて。上人へ參て懺悔し。專修念佛に入給にけり。
J17_0142A08: 夢にとりわきて。天王寺と見られけるも。由緖なき
J17_0142A09: にあらず。此寺は極樂補處の觀音大士。聖德太子と
J17_0142A10: 生て。佛法を此國に弘め給し最初の伽藍也。彼鳥居
J17_0142A11: の額にも釋迦如來。轉法輪所。當極樂土。東門中心
J17_0142A12: とかかれけり。和國に生をうけむ人は。此念佛門に
J17_0142A13: 歸すべきなり。
J17_0142A14: 鎭西修行者以下問答事
J17_0142A15: 鎭西より來れる修行者。上人に問奉りて曰。稱名の
J17_0142A16: 時心を佛の相好にかくる事は。いかが候べきと申け
J17_0142A17: るを。上人いまだ言説し給はざる先に。傍なる弟子。
J17_0142B18: 可然と申ければ。上人云。源空は不然。若我成佛。
J17_0142B19: 十方衆生。稱我名號。下至十聲。若不生者。不取正
J17_0142B20: 覺。彼佛今現。在世成佛。當知本誓。重願不虚。衆
J17_0142B21: 生稱念。必得往生と思ふ也。我等分齊をもて。佛の
J17_0142B22: 相好を觀ずとも。更に如説の觀にあらじ。ふかく本
J17_0142B23: 願を馮て。只口に名號を唱ふ計り。縱令ならざる行
J17_0142B24: 也とのたまへり。内外博覽の上人なを如是。況淺智
J17_0142B25: 愚鈍の族をや。ゆめゆめさかしき心をもたずして。
J17_0142B26: 只稱名を可勤也。又或人問奉て云。人多く持齋を勸
J17_0142B27: 侍り。何樣に存べく候やらんと。上人曰く。尼法師の
J17_0142B28: 食の作法は尤可然。但當世は機已におとろへ。食又
J17_0142B29: 減ぜり。此分齊にて一食ならば。心偏に食を思ひて。
J17_0142B30: 念佛の心靜なるべからず。されば菩提心經には。食
J17_0142B31: 不妨菩提。心能妨菩提といへり。持齋全く往生
J17_0142B32: の正業にあらず。只自身の分齊に隨て念佛に倦べか
J17_0142B33: らず。懈怠なきほどをあひはからひて。念佛を相續
J17_0142B34: すべき也。又或人問奉りて云。上人の申させ給御念

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