浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0103A01: | 盡の後榮をかぎる。又惠心先德に三卷の要集あり |
J17_0103A02: | て。嘉名を漢土の月にあげ、證相を異朝の風になび |
J17_0103A03: | かしき。しかはあれど。稱名正行のかたはらに。し |
J17_0103A04: | ばらくの廣弘の大心をあげて。諸行助念の方法をす |
J17_0103A05: | すむ。然にわれら身兼濟に絶ず行助業に闕て。やや |
J17_0103A06: | もすれば。局分をなすに似たり、ここに同山源空上 |
J17_0103A07: | 人と申人あり。彌陀本願の稱名は。正業決定の行體 |
J17_0103A08: | なれば。助縁を不待して。願行具足し。專修不亂の |
J17_0103A09: | 一念は。無生の大悟にかなふと決判し給へり。これ |
J17_0103A10: | によて。他宗の高德。梵風をあふぎ。諸家の雲客。 |
J17_0103A11: | 疑滯を散ず。都鄙同じく歸して。草のなびくがごと |
J17_0103A12: | し。道俗ともに專意なれば。百即百生の證。たなご |
J17_0103A13: | ころをさす。極惡最下をもて當機とし。極善最上を |
J17_0103A14: | もて正業とす。醍醐の妙藥。たれかしめす所ぞや。 |
J17_0103A15: | 印土には釋尊出世の本懷たり。漢家には善導大師の |
J17_0103A16: | 證誠たり。我朝には惠心の先德の開板たり。源空上 |
J17_0103A17: | 人の決釋也。まさにいまあひよりもことにあをく。 |
J17_0103B18: | 一入再入のいろよりも。なをふかき。曩祖上人の恩 |
J17_0103B19: | 德を報ぜんがために。諸方の傳記をひらき。古老の |
J17_0103B20: | 直説について。かづかづ是を記す。もし過減あらば。 |
J17_0103B21: | 後昆刪補をくわへよ。多言をいとふ事なかれ。 |
J17_0103B22: | 上人誕生事 |
J17_0103B23: | 抑如來滅後二千八十年。日本人皇七十五代。崇德 |
J17_0103B24: | 院の御宇。長承二年癸丑四月七日。午正中に。上人誕 |
J17_0103B25: | 生し給へり。生所は。美作國久米の南條。いなをか |
J17_0103B26: | のきたの庄。栃社なり。父は久米の押領使漆間の時 |
J17_0103B27: | 國。母は秦氏なり。上人。本姓は右大臣源の光より |
J17_0103B28: | 六代の孫。式部太郞源の年。陽明門にして。内藏人 |
J17_0103B29: | 兼高を殺害せし罪によりて。美作國に配流せられ |
J17_0103B30: | き、爰に當國の押領使。神護太夫元國といひし男。 |
J17_0103B31: | 實子なきによりて。源の年を養子として。彼職をゆ |
J17_0103B32: | づる。年が子息。外祖元國があとをつたへて。漆間 |
J17_0103B33: | の盛行と號す。其子國弘なり。其三男時國也。孝子 |
J17_0103B34: | なき事を憂て。佛神に祈誓す。長承元年七月十四日 |