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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0103A01: 盡の後榮をかぎる。又惠心先德に三卷の要集あり
J17_0103A02: て。嘉名を漢土の月にあげ、證相を異朝の風になび
J17_0103A03: かしき。しかはあれど。稱名正行のかたはらに。し
J17_0103A04: ばらくの廣弘の大心をあげて。諸行助念の方法をす
J17_0103A05: すむ。然にわれら身兼濟に絶ず行助業に闕て。やや
J17_0103A06: もすれば。局分をなすに似たり、ここに同山源空上
J17_0103A07: 人と申人あり。彌陀本願の稱名は。正業決定の行體
J17_0103A08: なれば。助縁を不待して。願行具足し。專修不亂の
J17_0103A09: 一念は。無生の大悟にかなふと決判し給へり。これ
J17_0103A10: によて。他宗の高德。梵風をあふぎ。諸家の雲客。
J17_0103A11: 疑滯を散ず。都鄙同じく歸して。草のなびくがごと
J17_0103A12: し。道俗ともに專意なれば。百即百生の證。たなご
J17_0103A13: ころをさす。極惡最下をもて當機とし。極善最上を
J17_0103A14: もて正業とす。醍醐の妙藥。たれかしめす所ぞや。
J17_0103A15: 印土には釋尊出世の本懷たり。漢家には善導大師の
J17_0103A16: 證誠たり。我朝には惠心の先德の開板たり。源空上
J17_0103A17: 人の決釋也。まさにいまあひよりもことにあをく。
J17_0103B18: 一入再入のいろよりも。なをふかき。曩祖上人の恩
J17_0103B19: 德を報ぜんがために。諸方の傳記をひらき。古老の
J17_0103B20: 直説について。かづかづ是を記す。もし過減あらば。
J17_0103B21: 後昆刪補をくわへよ。多言をいとふ事なかれ。
J17_0103B22: 上人誕生事
J17_0103B23: 抑如來滅後二千八十年。日本人皇七十五代。崇德
J17_0103B24: 院の御宇。長承二年癸丑四月七日。午正中に。上人誕
J17_0103B25: 生し給へり。生所は。美作國久米の南條。いなをか
J17_0103B26: のきたの庄。栃社なり。父は久米の押領使漆間の時
J17_0103B27: 國。母は秦氏なり。上人。本姓は右大臣源の光より
J17_0103B28: 六代の孫。式部太郞源の年。陽明門にして。内藏人
J17_0103B29: 兼高を殺害せし罪によりて。美作國に配流せられ
J17_0103B30: き、爰に當國の押領使。神護太夫元國といひし男。
J17_0103B31: 實子なきによりて。源の年を養子として。彼職をゆ
J17_0103B32: づる。年が子息。外祖元國があとをつたへて。漆間
J17_0103B33: の盛行と號す。其子國弘なり。其三男時國也。孝子
J17_0103B34: なき事を憂て。佛神に祈誓す。長承元年七月十四日

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