浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0102A01: | く夜をのこすに。つらつら往事を顧れば。舊友こと |
J17_0102A02: | ごとくゆきて。法跡わづかに存す。累代の口傳。み |
J17_0102A03: | みのそこにとどまりて。ひとり師子の芳訓を案ずれ |
J17_0102A04: | ば。千行の涙さいぎりて落。これを後昆にしめして。 |
J17_0102A05: | はひまふに備んと思ふ。あふげばいよいよ高く。き |
J17_0102A06: | ればいよいよかたし。いはんとするに。ことのはた |
J17_0102A07: | え。記せんとするに筆及ず。いまこころみに。畵圖 |
J17_0102A08: | のゑんをかりて。むかしを見る事。今のごとくなら |
J17_0102A09: | んとおもふ。且は勸學の眼をやしなひ。かつは信謗 |
J17_0102A10: | ともに第一義に歸するゑんとならん。ああおんを報 |
J17_0102A11: | じ德を謝するおしへは。内外の典籍。同じく是をす |
J17_0102A12: | すむ。たれかしたがはざらん。しかるに我本師釋尊。 |
J17_0102A13: | 諸佛のいまだすくはざる所。五濁增盛の時をゑらび。 |
J17_0102A14: | 十方の淨土に擯棄せられたる。逆惡の衆生のために。 |
J17_0102A15: | 十惡の山。邪見の林に入給ひしよりこのかた。正法 |
J17_0102A16: | 一千餘廻をおくりて、漢の明帝の代に。はじめて東 |
J17_0102A17: | 漸す。代代の三藏。宗宗の諸祖。淨土をたてて衆生 |
J17_0102B18: | をすすむるに。おほくは地前地上の聖人をその機と |
J17_0102B19: | す。花嚴に元曉といふ人。正爲凡夫傍爲聖人の談を |
J17_0102B20: | なせども。いまだひとへに罪惡の凡夫のためには釋 |
J17_0102B21: | せず。ただ我に高祖光明寺の善導大師のみましまし |
J17_0102B22: | て。證明如來説法。十六觀法。但爲常沒衆生。不干 |
J17_0102B23: | 大小聖也。と定判したまへり。さればこの經王の義 |
J17_0102B24: | 趣をのぶる。諸家六十有餘におよべりといへども。 |
J17_0102B25: | 今家の妙解。神僧の指授せしにはしかず。よて自他 |
J17_0102B26: | 宗の辯鋒。言下に舌をまき。歸伏せずといふことな |
J17_0102B27: | し。そのよの化導。僧傳にのするところ。絶倫のほ |
J17_0102B28: | まれ。ひとり我高祖にかぎる物か。傳へ聞彼遺文は。 |
J17_0102B29: | 仁明。文德の御代にあたりて。慈覺智證兩大師の將 |
J17_0102B30: | 來として。興隆さかむなりき。叡岳のいただきには。 |
J17_0102B31: | 常行三昧堂の花Gをみがきて。淸和の時。明持の達 |
J17_0102B32: | 者。誦經念佛の曲韻をつたへて。朝野遠近。尊崇に |
J17_0102B33: | およぶ。結構國家にみちて。行儀都鄙にあまねくし |
J17_0102B34: | て萬代の證跡たり。傳弘時いたりて。とほく經道滅 |