浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J13_0703A01: | はじめて井をほるに、みづ湛湛としてなみ溶溶たり |
J13_0703A02: | いとをひたしてそむるに、そのいろ五色をそめいだ |
J13_0703A03: | せり、人力の所爲にあらず、神通の方便也、みる人奇 |
J13_0703A04: | 特のおもひをなし、願主不覺のなみだにおぼる、こ |
J13_0703A05: | の地の奇瑞をおもふに、むかし天智天皇御時、井の |
J13_0703A06: | ほとりによなよなひかりをはなつ石あり、すなはち |
J13_0703A07: | 勅使をさして、そのところをみせらる、その石のか |
J13_0703A08: | たち、佛像をなせり、よりて彌勒の三尊に彫刻して、 |
J13_0703A09: | 精舍一堂の建立をなせり、名づくるにそめ寺といへ |
J13_0703A10: | り、この井の本縁によりてつけらるるところなり、 |
J13_0703A11: | 伇行者この佛庭に、末代の法苗のため、一本の櫻樹 |
J13_0703A12: | をうへられたり、人みな靈木といへり、花のいろ芬 |
J13_0703A13: | 馥せり、そののち多くのよよをへて、かけのくちき |
J13_0703A14: | となれり、しかれども、そのたねおひかはりて、は |
J13_0703A15: | るやむかしのいろをのこせり、かの靈地にあひあた |
J13_0703A16: | りて、この井をもほられたるにや、 |
J13_0703A17: | 畵 |
J13_0703B18: | おなじき廿三日のゆふべ、化女一人きたれり、その |
J13_0703B19: | かたちみやびかなる事天女のことし、化尼にとひて |
J13_0703B20: | いはく、はすのいとすでにとどのへまうけ侍るやと |
J13_0703B21: | いふ、すなはちいろいろのいとをささげさづくるに、 |
J13_0703B22: | わら二はを、あぶら二升にひたして、ともしびとす、 |
J13_0703B23: | 堂のいぬゐのすみをしめて、いろはたをたてて、い |
J13_0703B24: | ぬのときより、とらの時に及て、足だまも、てだま |
J13_0703B25: | もゆらに、おりいだせり、その後化尼本願尼兩人の |
J13_0703B26: | まへに、一丈五尺の曼陀羅一鋪、たけのふしなきを |
J13_0703B27: | 軸として、かけたてまつる、これをおがみたてまつ |
J13_0703B28: | るに、玉をつらねてみがきたるがごとく、金をのべ |
J13_0703B29: | てかざりたるがごとし、莊嚴赫奕とし、光明遍照せ |
J13_0703B30: | り、ときに化女のはたおりめ、五色のくもにのりて、 |
J13_0703B31: | いなびかりのきゆるがごとくしてさりぬ、 |
J13_0703B32: | 化尼、此像の深義をときていはく、南のへりには、 |
J13_0703B33: | 序分をあらはし、北のへりには、三昧正受のむねを |
J13_0703B34: | のべ、中臺には、四十八願の淨土の相をととのへ、 |