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J1990 當麻曼陀羅縁起 聖聰 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J13_0703A01: はじめて井をほるに、みづ湛湛としてなみ溶溶たり
J13_0703A02: いとをひたしてそむるに、そのいろ五色をそめいだ
J13_0703A03: せり、人力の所爲にあらず、神通の方便也、みる人奇
J13_0703A04: 特のおもひをなし、願主不覺のなみだにおぼる、こ
J13_0703A05: の地の奇瑞をおもふに、むかし天智天皇御時、井の
J13_0703A06: ほとりによなよなひかりをはなつ石あり、すなはち
J13_0703A07: 勅使をさして、そのところをみせらる、その石のか
J13_0703A08: たち、佛像をなせり、よりて彌勒の三尊に彫刻して、
J13_0703A09: 精舍一堂の建立をなせり、名づくるにそめ寺といへ
J13_0703A10: り、この井の本縁によりてつけらるるところなり、
J13_0703A11: 伇行者この佛庭に、末代の法苗のため、一本の櫻樹
J13_0703A12: をうへられたり、人みな靈木といへり、花のいろ芬
J13_0703A13: 馥せり、そののち多くのよよをへて、かけのくちき
J13_0703A14: となれり、しかれども、そのたねおひかはりて、は
J13_0703A15: るやむかしのいろをのこせり、かの靈地にあひあた
J13_0703A16: りて、この井をもほられたるにや、
J13_0703A17:
J13_0703B18: おなじき廿三日のゆふべ、化女一人きたれり、その
J13_0703B19: かたちみやびかなる事天女のことし、化尼にとひて
J13_0703B20: いはく、はすのいとすでにとどのへまうけ侍るやと
J13_0703B21: いふ、すなはちいろいろのいとをささげさづくるに、
J13_0703B22: わら二はを、あぶら二升にひたして、ともしびとす、
J13_0703B23: 堂のいぬゐのすみをしめて、いろはたをたてて、い
J13_0703B24: ぬのときより、とらの時に及て、足だまも、てだま
J13_0703B25: もゆらに、おりいだせり、その後化尼本願尼兩人の
J13_0703B26: まへに、一丈五尺の曼陀羅一鋪、たけのふしなきを
J13_0703B27: 軸として、かけたてまつる、これをおがみたてまつ
J13_0703B28: るに、玉をつらねてみがきたるがごとく、金をのべ
J13_0703B29: てかざりたるがごとし、莊嚴赫奕とし、光明遍照せ
J13_0703B30: り、ときに化女のはたおりめ、五色のくもにのりて、
J13_0703B31: いなびかりのきゆるがごとくしてさりぬ、
J13_0703B32: 化尼、此像の深義をときていはく、南のへりには、
J13_0703B33: 序分をあらはし、北のへりには、三昧正受のむねを
J13_0703B34: のべ、中臺には、四十八願の淨土の相をととのへ、

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