浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0687A01: | 可思議にして何としたる義理とも分別せられさる事 |
J09_0687A02: | を信する心なり又三心は行者の心持なるか故に隨分 |
J09_0687A03: | ひずみの無き樣にするなり戸障子もひつみかあれは |
J09_0687A04: | 立てあけならぬもの也兎角自分の才覺は入らぬこと |
J09_0687A05: | 也又此の三心は易き樣にして亦六けしきものなり人 |
J09_0687A06: | 目を飾らす一筋に願行するを至誠心と云ふ阿彌陀如 |
J09_0687A07: | 來の御陰にて無けれは往生することはならぬと思ふ |
J09_0687A08: | か深心也又常常の念佛は子孫繁昌の爲にも非す外の |
J09_0687A09: | 爲にも非す唯往生極樂の爲めなれは是れ回向心也さ |
J09_0687A10: | れは三心は行者のひすみを止めんか爲也所詮能説も |
J09_0687A11: | 所聽も三心に在ること也善導は八丁半二百餘行に書 |
J09_0687A12: | き玉ひ此の語燈錄一部始終も畢竟する所只是れ三心 |
J09_0687A13: | の事也爾るに此の三心に紛れもの有り元祖の滅後に |
J09_0687A14: | 惡しく心得る人有りて三心とは行具にして念佛者の |
J09_0687A15: | 心にかからぬなとと云は大に相違也西山の意序の處に委し兩大師 |
J09_0687A16: | 世話にあそはし玉ふは皆此の三心の沙汰を惡敷心得 |
J09_0687A17: | ぬ樣に勸め玉ふなり兩大師の御意は機具の三心にし |
J09_0687B18: | て行者の起すもの也と仰せらるる也扨三心とは本願 |
J09_0687B19: | の文に至心等と説くか故に第十八本願の願躰と立つ |
J09_0687B20: | る人有り西山の意序處に委し元祖の意は不爾安心と起行と引 |
J09_0687B21: | き分けて見れは起行は本願也安心は非本願也爾れど |
J09_0687B22: | も念佛も何心なく申せば本願に叶はず三心具足すれ |
J09_0687B23: | ば往生する故本願に三心を説き玉ふ也扨此の三心を |
J09_0687B24: | 安心と云は行者の心持也喩へは淸水へ參らんと思ふ |
J09_0687B25: | は安心也一足一足行て足を運ふは起行也安心とは安 |
J09_0687B26: | 置の義にして置くと云ふ義也置くと云は三の置き樣 |
J09_0687B27: | 有り所求所歸去行の三の置き樣なり其の所求とは西 |
J09_0687B28: | 方也十方に佛土あれとも是は初地已上の菩薩ならて |
J09_0687B29: | は往くこと叶はす尤も應身應土なとには生するこ |
J09_0687B30: | とあれとも報身報土には凡夫として往生することは |
J09_0687B31: | ならぬ也爾るに彌陀は凡夫を攝し玉ふ願あるか故に |
J09_0687B32: | 凡夫の報身報土に生ずることは彌陀の一國也諸佛の |
J09_0687B33: | 國土は凡夫叶はず故に有りと雖もなきか如し是故に |
J09_0687B34: | 行者の安心は唯是れ極樂の一土なりと西方はかりに |