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J1420 和語灯録日講私記 義山・素中 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0687A01: 可思議にして何としたる義理とも分別せられさる事
J09_0687A02: を信する心なり又三心は行者の心持なるか故に隨分
J09_0687A03: ひずみの無き樣にするなり戸障子もひつみかあれは
J09_0687A04: 立てあけならぬもの也兎角自分の才覺は入らぬこと
J09_0687A05: 也又此の三心は易き樣にして亦六けしきものなり人
J09_0687A06: 目を飾らす一筋に願行するを至誠心と云ふ阿彌陀如
J09_0687A07: 來の御陰にて無けれは往生することはならぬと思ふ
J09_0687A08: か深心也又常常の念佛は子孫繁昌の爲にも非す外の
J09_0687A09: 爲にも非す唯往生極樂の爲めなれは是れ回向心也さ
J09_0687A10: れは三心は行者のひすみを止めんか爲也所詮能説も
J09_0687A11: 所聽も三心に在ること也善導は八丁半二百餘行に書
J09_0687A12: き玉ひ此の語燈錄一部始終も畢竟する所只是れ三心
J09_0687A13: の事也爾るに此の三心に紛れもの有り元祖の滅後に
J09_0687A14: 惡しく心得る人有りて三心とは行具にして念佛者の
J09_0687A15: 心にかからぬなとと云は大に相違也西山の意序の處に委し兩大師
J09_0687A16: 世話にあそはし玉ふは皆此の三心の沙汰を惡敷心得
J09_0687A17: ぬ樣に勸め玉ふなり兩大師の御意は機具の三心にし
J09_0687B18: て行者の起すもの也と仰せらるる也扨三心とは本願
J09_0687B19: の文に至心等と説くか故に第十八本願の願躰と立つ
J09_0687B20: る人有り西山の意序處に委し元祖の意は不爾安心と起行と引
J09_0687B21: き分けて見れは起行は本願也安心は非本願也爾れど
J09_0687B22: も念佛も何心なく申せば本願に叶はず三心具足すれ
J09_0687B23: ば往生する故本願に三心を説き玉ふ也扨此の三心を
J09_0687B24: 安心と云は行者の心持也喩へは淸水へ參らんと思ふ
J09_0687B25: は安心也一足一足行て足を運ふは起行也安心とは安
J09_0687B26: 置の義にして置くと云ふ義也置くと云は三の置き樣
J09_0687B27: 有り所求所歸去行の三の置き樣なり其の所求とは西
J09_0687B28: 方也十方に佛土あれとも是は初地已上の菩薩ならて
J09_0687B29: は往くこと叶はす尤も應身應土なとには生するこ
J09_0687B30: とあれとも報身報土には凡夫として往生することは
J09_0687B31: ならぬ也爾るに彌陀は凡夫を攝し玉ふ願あるか故に
J09_0687B32: 凡夫の報身報土に生ずることは彌陀の一國也諸佛の
J09_0687B33: 國土は凡夫叶はず故に有りと雖もなきか如し是故に
J09_0687B34: 行者の安心は唯是れ極樂の一土なりと西方はかりに

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