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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0605A01: 極樂にむまるとしりて。心を至して申せはまいる事
J09_0605A02: 也。ものをしらぬうへに。道心もなく。いたつらに
J09_0605A03: ゆへなきことをいふ也。さいはん口にて。阿彌陀佛
J09_0605A04: を一念十念にても申せかしと候ひし事也又御往生の
J09_0605A05: 後。三井寺の住心房と申す學生。ひじりに。ゆめの
J09_0605A06: うちに問れても。阿彌陀佛はまたく風情もなく。た
J09_0605A07: た申す事也と答へられたりと。大谷の月忌の導師せ
J09_0605A08: らるとて。おほくの人の中にて説法にせられ候きと
J09_0605A09: 白川消息よりいでたり
J09_0605A10: 辨阿上人のいはく。故上人の給はく。われはこれ烏
J09_0605A11: 帽子もきざるおとこ也。十惡の法然房か念佛して往
J09_0605A12: 生せんといひて居たる也。又愚癡の法然房が念佛し
J09_0605A13: て往生せんといふ也。安房の助といふ一文不通の陰
J09_0605A14: 陽師か申す念佛と。源空か念佛とまたくかはりめな
J09_0605A15: しと物語集にいでたり
J09_0605A16: ある時問ていはく。上人の御念佛は智者にてましま
J09_0605A17: せは。われらが申す念佛にはまさりてぞおはしまし
J09_0605B18: 候らんとおもはれ候は。ひが事にて候やらん
J09_0605B19: その時上人御氣色あしくなりておほせられていは
J09_0605B20: く。さばかり申す事を用ひ給はぬ事よ。もしわが申す
J09_0605B21: 念佛の樣風情ありて申候はは。毎日六萬遍のつとめ
J09_0605B22: むなしくなりて。三惡道におち候はん。またくさ
J09_0605B23: る事候はすと。まさしく御誓言候しかは。それより辨
J09_0605B24: 阿はいよいよ念佛の信心を思ひさだめたりき同集
J09_0605B25: 又人ごとに。上人つねにの給しは。一丈のほりをこ
J09_0605B26: へんとおもはん人は。一丈五尺をこへんとはげむへ
J09_0605B27: し。往生を期せん人は。决定の信をとりてあひはけ
J09_0605B28: むへき也。ゆるくしてはかなふへからすと同集
J09_0605B29: 又上人のの給はく。念佛往生と申す事は。もろこし
J09_0605B30: わが朝の。もろもろの智者たちの沙汰し申さるる觀
J09_0605B31: 念の念佛にもあらす。又學問をして念佛の心をさと
J09_0605B32: りとほして申す念佛にもあらす。たた極樂に往生せ
J09_0605B33: んかために南無阿彌陀佛と申てうたかひなく往生す
J09_0605B34: るそとおもひとりて申すほかに。別の事なし。たた

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