ウィンドウを閉じる

J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0542A01: 菩薩人天等に通してとけり。此觀經等の三部は。濁
J09_0542A02: 惡不善の凡夫のためにとき給ふ。しかれはかの經を
J09_0542A03: とき給ふ時は。所も別に。時も別に。對機も別に。
J09_0542A04: 利益も別なりき。今君か妨難をきくに。いよいよ信
J09_0542A05: 心を增長す。若羅漢辟支佛初地十地の菩薩十方にみ
J09_0542A06: ち。化佛報佛ひかりをかかやかし。虚空にしたをは
J09_0542A07: きてむまれすとの給はは。又こたへていふへし。一
J09_0542A08: 佛の説は一切佛の説におなし。釋迦如來のとき給ふ
J09_0542A09: 敎をあらためは。制し給ふところの殺生十惡等のつ
J09_0542A10: みをあらためて又をかすへしや。さきの佛そらこと
J09_0542A11: し給はは。後の佛も又そらことし給ふへし。おなし
J09_0542A12: 事ならは。只しそめたる法をはあらためじといひ
J09_0542A13: て。なかく退する事なき。これを深心といふ也。三
J09_0542A14: に廻向發願心といふは。一切の善根をことことくみ
J09_0542A15: な廻向して。往生極樂のためとす。决定眞實の心のう
J09_0542A16: ちに廻向してむまるるおもひをなす也。此心ふかく
J09_0542A17: 信する事金剛のことくにして。一切の異見異學。別
J09_0542B18: 解別行人等に。動亂破壞せられざれ。いまさらに行
J09_0542B19: 者のために。一つのたとへをときて。外邪異見の難
J09_0542B20: をふせかん。人ありて西にむかひて百里千里をゆく
J09_0542B21: に。忽然として中路に二つの河あり。一つにはこれ火
J09_0542B22: の河南にあり。二つにはこれ水のかは北にあり。
J09_0542B23: をのをの廣さ百步。ふかくしてそこなし。まさに
J09_0542B24: 水火の中間に一つの白き道あり。ひろさ四五寸ば
J09_0542B25: かりなるへし。此道ひんかしのきしより西の岸にい
J09_0542B26: たるまて。長さ百步。その水の波浪交過して道をう
J09_0542B27: るほし。その火の燄亦きたりて道をやく。水火あひ
J09_0542B28: まじはりてつねにやむ事なし。此人すてに空曠のは
J09_0542B29: るかなるところにいたるに人なくして。群賊惡獸あ
J09_0542B30: り。此人のひとりゆくをみて。きをひきたりてころ
J09_0542B31: さんとす。此人死ををそれてたたちにはしりて西に
J09_0542B32: むかふ。忽然として此大河をみるに。すなはち念言
J09_0542B33: すらく。此河南北ともにほとりなし。中間に一つの
J09_0542B34: 白道をみる。きはめて狹少也。二つの岸あひさる事

ウィンドウを閉じる