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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0510A01: りぬれば。よろづの人を見るに。みなわが心にはをと
J09_0510A02: りたり。あさましくわろければ。わが身のよきまま
J09_0510A03: には。ゆゆしき念佛者にてある物かな。たれたれに
J09_0510A04: もすぐれたりと思ふ也。この事をはよくよく意えて
J09_0510A05: つつしむべき也。世もひろし。人もおほければ。山の
J09_0510A06: 奧林の中にこもりゐて。人にもしられぬ念佛者の。
J09_0510A07: 貴くめてたき。さすがにおほくあるを。わがきかず
J09_0510A08: しらぬにてこそあれ。されば。われほどの念佛者
J09_0510A09: よもあらじと思ふはひが事也。大憍慢にてあれは。そ
J09_0510A10: れをたよりにて。魔縁の付て。往生をさまたくる
J09_0510A11: 也。さればわが身のいみじくて。つみをも滅し極樂
J09_0510A12: へもまいらばこそあらめ。ひとへに阿彌陀佛の願力
J09_0510A13: にてこそ煩惱をも罪業をもほろぼしうしなひて。か
J09_0510A14: たしけなく彌陀ほとけの。てつからみづからむかへ
J09_0510A15: とりて。極樂へかへらせましますことなれ。さればわ
J09_0510A16: がちからにて往生する事ならばこそわれかしこしと
J09_0510A17: いふ慢心をばをこさめ。若憍慢の心だにもをこりな
J09_0510B18: ば。たちところに阿彌陀ほとけの願にはそむきぬる
J09_0510B19: ものなれば。彌陀も諸佛も護念し給はすなりぬれば。
J09_0510B20: 惡魔のためにもなやまさるる也。返返も憍慢の心を
J09_0510B21: をこすへからず。あなかしこあなかしこ
J09_0510B22:
J09_0510B23: 念佛大意
J09_0510B24: 末代惡世の衆生。往生の心さしをいたさんにをきて
J09_0510B25: は。又他のつとめあるへからず。ただ善導の釋につ
J09_0510B26: ゐて。一向專修の念佛門にいるへきなり。しかるを一
J09_0510B27: 向に信をいたして。その門にいる人はきはめてあり
J09_0510B28: かたし。そのゆへにあるひは他の行に心をそめ。ある
J09_0510B29: ひは念佛の功德ををもくせざるなるへし。つらつら
J09_0510B30: これをおもふに。まことしく往生淨土の願。ふかき
J09_0510B31: 心をもはらにする人ありかたきゆへか。まづこの道
J09_0510B32: 理をよくよく意得べき也。すべて天台法相の經論聖
J09_0510B33: 敎も。そのつとめをいたさんに。一つとしてあだな
J09_0510B34: るべきにはあらず。ただし佛道修行は。よくよく身

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