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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0508A01: だにもしらぬ。無智のともからの念佛には。よも三
J09_0508A02: 心は具し候はじ。三心かけは往生し候なんやと申す
J09_0508A03: 事。きはめたる不審にて候へとも。これは阿彌陀ほ
J09_0508A04: とけの法藏菩薩のむかし五劫のあひた。よるひる心
J09_0508A05: をくだきて案じたてて。成就せさせ給ひたる本願の
J09_0508A06: 三心なれば。あだあだしくいふべき事にあらず。い
J09_0508A07: かに無智ならん者もこれを具し。三心の名をしらぬ
J09_0508A08: ものまても。かならすそらに具せんずる樣を擇はせ
J09_0508A09: 給ひたる三心なれば。阿彌陀佛をたのみたてまつり
J09_0508A10: て。すこしもうたかふ心なくして。この名號をとな
J09_0508A11: ふれは。あみたほとけかならずわれをむかへて。極
J09_0508A12: 樂にゆかせ給ふとききて。これをふかく信して。す
J09_0508A13: こしもうたかふ心なく。むかへさせ給へとおもひて
J09_0508A14: 念佛すれは。この心がすなはち三心具足の心にてあ
J09_0508A15: れば。ただひらに信じてだにも念佛すれば。すずろ
J09_0508A16: に三心はあるなり。さればこそよにあさましき一文
J09_0508A17: 不通のともからのなかに。ひとすちに念佛するもの
J09_0508B18: は。臨終正念にして。めてたき往生をするは。現に
J09_0508B19: 證據あらたなる事なれば。つゆちりもうたかふべか
J09_0508B20: らず。中なかよくもしらぬ三心沙汰して。あしさま
J09_0508B21: に心えたる人ひとは。臨終のわろくのみありあひた
J09_0508B22: る。それにてたれたれも心うへきなり
J09_0508B23: 一ときとき別時の念佛を修して。心をも身をもはげ
J09_0508B24: ましととのへすすむへき也。日日に六萬遍を申せは
J09_0508B25: 七萬遍をとなふればとて。ただ在もいはれたる事
J09_0508B26: にてはあれとも。人の心さまは。いたく目もなれ。
J09_0508B27: 耳もなれぬれは。いそいそとすすむ心もなく。あ
J09_0508B28: けくれ心いそかしき樣にてのみ。疎略になりゆく
J09_0508B29: 也。その心をためなをさん料に。時時別時の念佛は
J09_0508B30: すへき也。しかれは善導和尚も。ねんころにすすめ
J09_0508B31: 給ひ。惠心の往生要集にも。すすめさせ給ひたる
J09_0508B32: 也。道塲をもひきつくろひ。花香をもまいらせん
J09_0508B33: 事。ことにちからのたへむにしたかひてかざりまい
J09_0508B34: らせて。わが身をもことにきよめて道塲にいりて。

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