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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0506A01: と也。癡煩惱といふは。をろかなる心なり。此心を
J09_0506A02: かしこくなすへき也。まづ生死をいとひ淨土をねか
J09_0506A03: ひて往生を大事といとなみてもろもろの家業を事と
J09_0506A04: せされは。癡煩惱なき也。少少の癡は往生のさはり
J09_0506A05: にはならず。このほとに心えつれは。貪瞋等の虚假
J09_0506A06: の心はうせて。眞實心はやすくおこる也。これを淨
J09_0506A07: 土の菩提心といふなり。詮するところ。生死の報を
J09_0506A08: かろしめ。念佛の一行をはげむがゆへに眞實心とは
J09_0506A09: いふ也。二に深心といふは。ふかく念佛を信する心な
J09_0506A10: り。ふかく念佛を信すといふは。餘行なく一向に念
J09_0506A11: 佛になる也。もし餘行をかぬれは。深心かけたる行
J09_0506A12: 者といふ也。詮するところ。釋迦の淨土三部經はひと
J09_0506A13: へに念佛の一行をとくと心え。彌陀の四十八願は。
J09_0506A14: 稱名の一行を本願とすと心えて。ふた心なく念佛す
J09_0506A15: るを。深心具足といふなり。三に廻向發願心といふ
J09_0506A16: は。無始よりこのかたの所作のもろもろの善根を。ひ
J09_0506A17: とへに往生極樂といのる也。又つねに退する事なく
J09_0506B18: 念佛するを。廻向發願心といふなり。これは惠心の
J09_0506B19: 御義なり。此心ならは至誠心深心具足してのうへ
J09_0506B20: につねに。念佛の數遍をなすへし。もし念佛退轉せ
J09_0506B21: は。廻向發願心かけたるもの也。淨土宗の人は。三
J09_0506B22: 心のやうをよくよく心えて念佛すべき也。三心の中
J09_0506B23: に。ひとつもかけなは往生はかなふまじき也。三心
J09_0506B24: 具足しぬれは往生は無下にやすくなるなり。すべて
J09_0506B25: われらが輪廻生死のふるまひは。ただ貪瞋癡の煩惱
J09_0506B26: の絆によりて也。貪瞋癡をこらは。なを惡趣へゆく
J09_0506B27: へきまとひのをこりたるぞと意えて。是をとどむへ
J09_0506B28: き也。しかれともいまだ煩惱具足のわれらなれは。
J09_0506B29: かくは意えたれともつねに煩惱はをこる也。をこれ
J09_0506B30: とも煩惱をは心のまらう人とし念佛をは心のある
J09_0506B31: しとしつれは。あなかちに往生をはさへぬ也。煩惱
J09_0506B32: を心のあるしとして念佛を心のまらう人とする事
J09_0506B33: は。雜毒虚假の善にて往生にはきらはるる也。詮す
J09_0506B34: るところ。前念後念のあひたには。煩惱をまじふと

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