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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0475A01: の益なからんやといへり。極樂世界に水鳥樹林の微
J09_0475A02: 妙の法をさへつるは不思議なれとも。これらはほと
J09_0475A03: けの願力なれはと信して。なんそたた第十八の乃至
J09_0475A04: 十念といふ願をのみうたがふべきや。惣して佛説を
J09_0475A05: 信せは。此も佛説なり。かの花嚴の三無差別。般若
J09_0475A06: の盡淨虚融。法花の諸法實相。涅槃の悉有佛性。た
J09_0475A07: れか信せさらんや。かれも佛説なり。これも佛説
J09_0475A08: 也。いづれをか信じ。いつれをか信ぜさらんや。それ
J09_0475A09: 三字の名號はすくなしといへとも。如來所有の内證
J09_0475A10: 外用の功德。万億恒沙の甚深の法門をこのうちにお
J09_0475A11: さめたり。たれかこれをはかるへきや。疏の玄義分
J09_0475A12: にこの名號を釋していはく。阿彌陀佛といは。これ
J09_0475A13: 天竺の正音、ここには翻して無量壽覺といふ。無量
J09_0475A14: 壽といは。これ法。覺といは。これ人。人法ならへ
J09_0475A15: てあらはす。かるがゆへに阿彌陀佛といふ。人法と
J09_0475A16: いは所觀の境也、これにつゐて依報あり正報ありと
J09_0475A17: いへり。しかれははしめ彌陀如來。万德無漏の所證の
J09_0475B18: 法門より。觀音勢至。普賢文殊。地藏龍樹。乃至か
J09_0475B19: の土の菩薩聲聞等にいたるまて。そなへ給へるとこ
J09_0475B20: ろの事理の觀行。定惠の功力。内證の智惠外用の功
J09_0475B21: 德。みなことことく三字の中におさまれり。されば
J09_0475B22: 極樂界にいづれの法門か。もれたるところあらん。
J09_0475B23: しかるにこの三字の名號をは。諸宗をのをのわか宗
J09_0475B24: に釋しいれたり。眞言には阿字本不生の義。四十二
J09_0475B25: 字を出生せり。一切の法は阿字をはなれる事なきか
J09_0475B26: ゆへに功德甚深の名號といへり。天台宗には空假中
J09_0475B27: の三諦。正了縁の三義。法報應の三身。如來所有の
J09_0475B28: 功德。これをいでざるがゆへに功德莫大なりといへ
J09_0475B29: り。かくのことく諸宗をのをのわか存するところの
J09_0475B30: 法につゐて。阿彌陀の三字を釋せり。いまこの宗の
J09_0475B31: 意は。眞言の阿字本不生の義も、天台の三諦一理の
J09_0475B32: 法も。三論の八不中道の旨も法相の五重唯識の意
J09_0475B33: も。惣して森羅の万法ひろくこれを攝すとならふ。
J09_0475B34: 極樂世界にもれたる法門なきかゆへに。たたしいま

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