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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0476A01: 彌陀本願の意は。かくのことくさとれとにはあら
J09_0476A02: す。ただふかく信心をいたしてとなふるものをむか
J09_0476A03: へんとなり。耆婆扁鵲か万病をいやすくすりは。も
J09_0476A04: ろもろの木。よろづの草をもて合藥せりといへと
J09_0476A05: も。病者これをさとりて。その藥木何分。その藥草
J09_0476A06: 何兩和合せりとしらす。しかれとも是を服するに万
J09_0476A07: 病ことことくいゆるかことし。たたうらむらくはこ
J09_0476A08: のくすりを信ぜすして。わかやまひはきはめてをも
J09_0476A09: し。いかかこの藥にてはいゆる事あらんとうたかひ
J09_0476A10: て服せすんは。耆婆か醫術も。扁鵲か秘方も。むな
J09_0476A11: しくしてその益あるべからざるがことく。彌陀の名
J09_0476A12: 號もかくのことし。それ煩惱惡業のやまひきはめて
J09_0476A13: をもし。いかかこの名號をとなへてむまるることあ
J09_0476A14: らんと。うたかひてこれを信ぜすは。彌陀の誓願。
J09_0476A15: 釋尊の所説むなしくして。そのしるしあるべから
J09_0476A16: ず。たたあふきて信ずべし。良藥をえて服さすして
J09_0476A17: 死することなかれ。崑崙の山にゆきて。玉をとらず
J09_0476B18: してかへり。栴檀のはやしにいりて枝をよぢすして
J09_0476B19: いでなは後悔いかかせん。みつからよく思量すべ
J09_0476B20: し。そもそもわれら曠劫よりこのかた佛の出世にも
J09_0476B21: あひけん。菩薩の化道にもあひけん。過去の諸佛も
J09_0476B22: 現在の如來もみなこれ宿世の父母也。多生の朋友な
J09_0476B23: り。しかるにかれはすてに菩提を證し給へるに。わ
J09_0476B24: れはなにによて生死にはととまれるそと。はつべし
J09_0476B25: はつべし。かなしむべしかなしむべし。本師釋迦如
J09_0476B26: 來の衆生大罪のやまにいり。邪見のはやしにかくれ
J09_0476B27: て。三業放逸に。六情縱蕩ならん者を。わか國土に
J09_0476B28: とりをきて。敎化度脱せしめむとちかひ給ひたりし
J09_0476B29: は。そもそもいかにしてかかる衆生をは。度脱せし
J09_0476B30: めむとちかひたもふぞとたづぬれは。阿彌陀如來の
J09_0476B31: 因位無諍念王と申せし時菩提心ををこし。衆生をし
J09_0476B32: て生死を過度せしめんとちかひ給ひて。すなはち國
J09_0476B33: をもくらゐをもすてて。攝取衆生の願ををこし給
J09_0476B34: ひしに。釋迦如來は其時寳海梵志と申て。無諍念王

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