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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0291A01: 往生の機分なること凖へて知るべし。かくの如くしら
J09_0291A02: べて見よ。頑愚と上機の還愚には。妨難を受る恐れ
J09_0291A03: なく。唯用心は勉強の機にある故に。是を御遺誓の。
J09_0291A04: 目的としたまふことを知るべし。爾れば。人人分に解
J09_0291A05: 智ありとても物だてず。勉強して愚癡に還り。專修
J09_0291A06: 念佛すべきなり。爾るを世に小賢しき。生ま物じり
J09_0291A07: の類に。物だてたがるがあるものなり。彼東門の阿
J09_0291A08: 闍梨。御傳第四十八江戸の長四郞。隨聞往生傳追加等の如し。又愚鈍
J09_0291A09: にして。念佛申す中に。我身に學文智慧分別の欠けた
J09_0291A10: るを歎き。他の賢しだちたるを羡む者あり。此は是。
J09_0291A11: 金を棄て麻を荷ひ玉を燕石に代んとするが如し。畢
J09_0291A12: 竟じて。此本願念佛往生の法門は。果分不可説とて。
J09_0291A13: 凡智の及ぶ所に非。故に善導大師の御釋に云。佛密
J09_0291A14: 意弘深敎門難曉三賢十聖弗測所窺况我信外輕毛
J09_0291A15: 敢知旨趣。已上善導大師既に爾り。况や餘人をや。上
J09_0291A16: 位の菩薩既に爾り。况や底下の凡夫をや。故に今の結
J09_0291A17: 勸にも。たとひ一代の法をよくよく學すとも。一文
J09_0291B18: 不知の愚鈍の身になして等。と智者を能同とし。愚
J09_0291B19: 者を所同とし。愚者も智者になれとはの玉はず。智
J09_0291B20: 者を愚者になり還れとこそ。敎示し給へるなり。され
J09_0291B21: ば。愚鈍念佛大往生の人至て多し。中に於て五三を
J09_0291B22: 擧ば。加古の敎信。伊豫の安西。讃岐の源太夫。伹
J09_0291B23: 馬の與九郞。白子の妙照。岸和田の玅祐等。又還愚
J09_0291B24: 癡の大往生は。殊に多し。淨土の祖師に。還愚なら
J09_0291B25: ぬは。一人もましまさず。他宗の碩德にも。慧心僧
J09_0291B26: 都。永觀律師。顯眞僧正。明遍僧都の如き。擧げ盡
J09_0291B27: すべき局に非ず。中に於て其の一人を擧げは。東都に
J09_0291B28: 即蓮社念譽覺源上人と云あり。世を遁れて後は。み
J09_0291B29: づから常知と稱せらる。幼稚にして發心し。三縁山
J09_0291B30: 某大僧正を拜して剃髮し。學なり臘たけて眞宗の大
J09_0291B31: 事。專修念佛なることを決得し。名利にほだされて。
J09_0291B32: 眞の道をふみたがへんことを恐れ思ひ。衆の交りを厭
J09_0291B33: ひすてて。ひそかに彼山を遁れ出。本所割下水と云へ
J09_0291B34: る所に其母と同居し。長時の日課十萬遍。一稱一課。

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