浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J09_0291A01: | 往生の機分なること凖へて知るべし。かくの如くしら |
J09_0291A02: | べて見よ。頑愚と上機の還愚には。妨難を受る恐れ |
J09_0291A03: | なく。唯用心は勉強の機にある故に。是を御遺誓の。 |
J09_0291A04: | 目的としたまふことを知るべし。爾れば。人人分に解 |
J09_0291A05: | 智ありとても物だてず。勉強して愚癡に還り。專修 |
J09_0291A06: | 念佛すべきなり。爾るを世に小賢しき。生ま物じり |
J09_0291A07: | の類に。物だてたがるがあるものなり。彼東門の阿 |
J09_0291A08: | 闍梨。御傳第四十八江戸の長四郞。隨聞往生傳追加等の如し。又愚鈍 |
J09_0291A09: | にして。念佛申す中に。我身に學文智慧分別の欠けた |
J09_0291A10: | るを歎き。他の賢しだちたるを羡む者あり。此は是。 |
J09_0291A11: | 金を棄て麻を荷ひ玉を燕石に代んとするが如し。畢 |
J09_0291A12: | 竟じて。此本願念佛往生の法門は。果分不可説とて。 |
J09_0291A13: | 凡智の及ぶ所に非。故に善導大師の御釋に云。佛密 |
J09_0291A14: | 意弘深敎門難曉三賢十聖弗測所窺况我信外輕毛 |
J09_0291A15: | 敢知旨趣。已上善導大師既に爾り。况や餘人をや。上 |
J09_0291A16: | 位の菩薩既に爾り。况や底下の凡夫をや。故に今の結 |
J09_0291A17: | 勸にも。たとひ一代の法をよくよく學すとも。一文 |
J09_0291B18: | 不知の愚鈍の身になして等。と智者を能同とし。愚 |
J09_0291B19: | 者を所同とし。愚者も智者になれとはの玉はず。智 |
J09_0291B20: | 者を愚者になり還れとこそ。敎示し給へるなり。され |
J09_0291B21: | ば。愚鈍念佛大往生の人至て多し。中に於て五三を |
J09_0291B22: | 擧ば。加古の敎信。伊豫の安西。讃岐の源太夫。伹 |
J09_0291B23: | 馬の與九郞。白子の妙照。岸和田の玅祐等。又還愚 |
J09_0291B24: | 癡の大往生は。殊に多し。淨土の祖師に。還愚なら |
J09_0291B25: | ぬは。一人もましまさず。他宗の碩德にも。慧心僧 |
J09_0291B26: | 都。永觀律師。顯眞僧正。明遍僧都の如き。擧げ盡 |
J09_0291B27: | すべき局に非ず。中に於て其の一人を擧げは。東都に |
J09_0291B28: | 即蓮社念譽覺源上人と云あり。世を遁れて後は。み |
J09_0291B29: | づから常知と稱せらる。幼稚にして發心し。三縁山 |
J09_0291B30: | 某大僧正を拜して剃髮し。學なり臘たけて眞宗の大 |
J09_0291B31: | 事。專修念佛なることを決得し。名利にほだされて。 |
J09_0291B32: | 眞の道をふみたがへんことを恐れ思ひ。衆の交りを厭 |
J09_0291B33: | ひすてて。ひそかに彼山を遁れ出。本所割下水と云へ |
J09_0291B34: | る所に其母と同居し。長時の日課十萬遍。一稱一課。 |