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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0290A01: 給ふは。いかがと云に。此頑愚の機は。思慮分別の。
J09_0290A02: 之乎者也なき。無病の機なれば。邪義邪勸に。妨げら
J09_0290A03: るる氣遣ひなければ。殊更に御遺訓に及ばず。故に
J09_0290A04: 捨置。還愚の機を目的とし玉ふ。猶委く云に。此還
J09_0290A05: 愚の中に。亦二機あり。一には正解を得給へる。我
J09_0290A06: 宗の祖祖。及び他宗の碩學の。本宗を閣きて。愚癡
J09_0290A07: に還りて。專修念佛し給ふ人人。二には分に知解あ
J09_0290A08: る故。我學知を物だてたがり。或は從來の餘行に執
J09_0290A09: ありて。捨かぬる意あれども。所詮時機不應の。心
J09_0290A10: 行にては成就しがたきことを知る故。押して心の師と
J09_0290A11: なり。勉強して念佛一行となるあり。此二機あれど
J09_0290A12: も。御遺訓の目的となるは。後の機にあるなり。此
J09_0290A13: ことを譬へば。中庸に。或安而行之或利而行之或勉
J09_0290A14: 強而行之とありて。安而行之とは。天性自然の性
J09_0290A15: 善にして。造作を假らざるなり。利而行之とは。智
J09_0290A16: 者は善は利にして。不善は害あることを。識知する故。
J09_0290A17: 不善を捨てて。善を行ふなり。されども。安行に比
J09_0290B18: すれば劣る。勉強は心内情欲多けれども。心のまま
J09_0290B19: に行ふときは。不善無道に陷入する故。情を揉め欲を
J09_0290B20: 忍びて。善行を勉強して行ふなり。利行に比すれば
J09_0290B21: 亦劣れり。されば。此三機を分別すれば。安行は聖
J09_0290B22: 人。利行は賢人。勉強は常の學者にあたるなり。今
J09_0290B23: 我門の正機は。單直仰信。不理會の頑愚を。正中最
J09_0290B24: 上の機と定むれば。彼安行の人の如し。又還愚に二
J09_0290B25: 機ある。初めの正解を得給ふ。祖師先德等は。利行
J09_0290B26: の人の如し。學解にほこらず。餘行に於て執なく至
J09_0290B27: て勝れたる機なれども。愚鈍念佛の機に比すれば劣
J09_0290B28: るなり。されは。高野の明遍僧都は。無智にぞあり
J09_0290B29: たきたきと。生涯此機をうらやみ給へり。次の還愚
J09_0290B30: は。智解にほこり。餘行に執する意も發れども。道
J09_0290B31: 理を以て勉強し專修一行となる。是は彼の勉強の學
J09_0290B32: 士の如し。上の還愚に比すれば。亦劣るなり。され
J09_0290B33: ども安行利行勉強に。勝劣はあれども。三機共に善
J09_0290B34: 行の君子なる如く。今此三機に勝劣はあれども。皆

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