浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J09_0290A01: | 給ふは。いかがと云に。此頑愚の機は。思慮分別の。 |
J09_0290A02: | 之乎者也なき。無病の機なれば。邪義邪勸に。妨げら |
J09_0290A03: | るる氣遣ひなければ。殊更に御遺訓に及ばず。故に |
J09_0290A04: | 捨置。還愚の機を目的とし玉ふ。猶委く云に。此還 |
J09_0290A05: | 愚の中に。亦二機あり。一には正解を得給へる。我 |
J09_0290A06: | 宗の祖祖。及び他宗の碩學の。本宗を閣きて。愚癡 |
J09_0290A07: | に還りて。專修念佛し給ふ人人。二には分に知解あ |
J09_0290A08: | る故。我學知を物だてたがり。或は從來の餘行に執 |
J09_0290A09: | ありて。捨かぬる意あれども。所詮時機不應の。心 |
J09_0290A10: | 行にては成就しがたきことを知る故。押して心の師と |
J09_0290A11: | なり。勉強して念佛一行となるあり。此二機あれど |
J09_0290A12: | も。御遺訓の目的となるは。後の機にあるなり。此 |
J09_0290A13: | ことを譬へば。中庸に。或安而行之或利而行之或勉 |
J09_0290A14: | 強而行之とありて。安而行之とは。天性自然の性 |
J09_0290A15: | 善にして。造作を假らざるなり。利而行之とは。智 |
J09_0290A16: | 者は善は利にして。不善は害あることを。識知する故。 |
J09_0290A17: | 不善を捨てて。善を行ふなり。されども。安行に比 |
J09_0290B18: | すれば劣る。勉強は心内情欲多けれども。心のまま |
J09_0290B19: | に行ふときは。不善無道に陷入する故。情を揉め欲を |
J09_0290B20: | 忍びて。善行を勉強して行ふなり。利行に比すれば |
J09_0290B21: | 亦劣れり。されば。此三機を分別すれば。安行は聖 |
J09_0290B22: | 人。利行は賢人。勉強は常の學者にあたるなり。今 |
J09_0290B23: | 我門の正機は。單直仰信。不理會の頑愚を。正中最 |
J09_0290B24: | 上の機と定むれば。彼安行の人の如し。又還愚に二 |
J09_0290B25: | 機ある。初めの正解を得給ふ。祖師先德等は。利行 |
J09_0290B26: | の人の如し。學解にほこらず。餘行に於て執なく至 |
J09_0290B27: | て勝れたる機なれども。愚鈍念佛の機に比すれば劣 |
J09_0290B28: | るなり。されは。高野の明遍僧都は。無智にぞあり |
J09_0290B29: | たきたきと。生涯此機をうらやみ給へり。次の還愚 |
J09_0290B30: | は。智解にほこり。餘行に執する意も發れども。道 |
J09_0290B31: | 理を以て勉強し專修一行となる。是は彼の勉強の學 |
J09_0290B32: | 士の如し。上の還愚に比すれば。亦劣るなり。され |
J09_0290B33: | ども安行利行勉強に。勝劣はあれども。三機共に善 |
J09_0290B34: | 行の君子なる如く。今此三機に勝劣はあれども。皆 |