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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0289A01: 淨土他力の法門は。悟道を求めず。斷惑を志さず。唯
J09_0289A02: 佛願を仰ぎて。往生の爲に。念佛するの外あることな
J09_0289A03: し。と云義を。聖道門の意は等。と仰られたる。御
J09_0289A04: 法語なる故。了譽上人此意を得て。還字不可存意
J09_0289A05: 許愚癡ながらと云の義なりと釋し給へり。是即智慧
J09_0289A06: を離れて。修行成就せざる。聖道門に對する故頑愚
J09_0289A07: の義なり。二に還の字に意許を存じて。還歸の義
J09_0289A08: とするは。淨土門に入たる人に。解義分の機と。仰
J09_0289A09: 信分の機とあり。仰信分は。性得の頑愚の。唯ほれ
J09_0289A10: ぼれと念佛する人にて。愚鈍念佛第一の正機を云な
J09_0289A11: り。解義分と云は。聖道淨土の。難易得失。總別二
J09_0289A12: 種の安心等を。能能學知するといへども。少しも是
J09_0289A13: を物だてず。愚癡になり還るを云。則ち今の文に。
J09_0289A14: 一文不知の愚鈍の身になして。等と仰られ。又年こ
J09_0289A15: ろ習ひたる智慧は。往生の爲に要にあらず。と仰ら
J09_0289A16: れたる等。皆此還歸の義なり。此は是淨土宗門の肝
J09_0289A17: 要。託願往生の故實にして。祖師代代の相傳なり。
J09_0289B18: されば。二祖國師の曰。宗要第四の十七帋十八通上の十八帋西方の念佛往
J09_0289B19: 生の行者と云は。一分一書の文義。是を知るといへ
J09_0289B20: ども。只我身に於ては。黑白をも知らず。東西をも
J09_0289B21: 辨せざるが如く。嬰兒童子の如なるべし。只速に仰
J09_0289B22: で。念佛往生の行を信じて。臨終正念に。極樂に往
J09_0289B23: 生せんと願ふべし。故上人の常言に云。我はゑぼし
J09_0289B24: もきぬ法然房也。ゑぼしもきぬとは。威儀をつくろはぬ。と云意なり黑白をもしら
J09_0289B25: ぬ童子の如く是非もしらざる無智の者なり。只念佛
J09_0289B26: 往生を仰で信ず。釋迦は念佛して往生せよと勸め給
J09_0289B27: ふ。彌陀は念佛せよ來迎せんと仰せられたり。此一
J09_0289B28: 事を信じて。餘の事はしらず。而して我等は。法然
J09_0289B29: 上人を信じ奉り。法然上人は。善導を信じ奉り。善
J09_0289B30: 導は。釋迦彌陀を信じ奉り給ふなりと。祖祖傳傳し
J09_0289B31: て。斯の如。還愚の機となり給へるなり。さて此
J09_0289B32: 仰信の頑愚と。解知の還愚とを。對待すれば。愚鈍
J09_0289B33: 念佛第一といへば。頑愚を勝れたりとするに。今此
J09_0289B34: 頑愚をさし置て。第二の還愚の機を遺訓の目的とし

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