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J1350 一枚起請弁述 義山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0128A01: 門にこれあり爲長の十訓抄にも載せある也されは大
J09_0128A02: 事の時には起請を書くこと昔にも其例あり爰は元祖一
J09_0128A03: 大事の所なれは起請あるへき也元祖は初より道心深
J09_0128A04: くましまして如何にしてか生死を出離し淨土に至ら
J09_0128A05: むかと思召ての御學文也然るに二尊の憐みにはづれ
J09_0128A06: 六萬七萬の修行も虚しくして三途の底に入らむとあ
J09_0128A07: る御誓言を立て給ふべきにあらず然るに是れは何の
J09_0128A08: 爲めに立て給ふとなれは既に滅期臨終の時近つきし
J09_0128A09: 故に大慈悲を以て末代の衆生を憐み疑ひをはらさせ
J09_0128A10: むかために御誓ひを立て給ふ事なれはあだに心得へ
J09_0128A11: からす此外に等とは上にある思ひとりて申外には別
J09_0128A12: の子細候はすと云ふより外に耳ささやくと云ふことは
J09_0128A13: なき也人を選て外に甚深なることを傳ふる抔云ふことも
J09_0128A14: なし若しこれに違ひなは釋迦彌陀二尊の憐みにはづ
J09_0128A15: れむと也釋迦彌陀の大悲にはづれなは何處へ行くへ
J09_0128A16: きか三途の底に沈むより外はなき也これをとくと合
J09_0128A17: 點して聲を打立て唱ふるより外は何もなき也
J09_0128B18: 念佛を信せん等とは本願に乘して一筋に此念佛を
J09_0128B19: 申す中に於て學文をなしたれはよからむ智者なれは
J09_0128B20: 勝るるかと人毎に思へとも左樣のことなしたとへ一代
J09_0128B21: 經をそらむずる程の智者にても助け給へとあなたに
J09_0128B22: 任せて申す念佛なれは唯南無阿彌陀佛と唱ふる計り
J09_0128B23: にして此方よりのとやかくの才覺知惠は不用也本願
J09_0128B24: 他力を賴む以上は知惠も才覺も不用也愚者なれはと
J09_0128B25: て卑下せす智者は智者だてをせすして申す也それ故
J09_0128B26: 斯の如く仰せられたり念佛を信せん人は聖道の衆に
J09_0128B27: はかまひなしもし念佛信仰の人ならはたとひ一代の
J09_0128B28: 法を學すともたとひとはもしやと云ふ意也今の世に
J09_0128B29: 一代の法を明に學する人は少したとひ學せし人なり
J09_0128B30: ともこの利かの利と少しにても賢げありては鼻をは
J09_0128B31: じかれ惡まるる也それ故一文不知の愚鈍の身になし
J09_0128B32: て等と云ふ時にせつかく習ひ學ひたる事どもを如何
J09_0128B33: にして忘れ得へきそと云ふに學び得たることを忘れよ
J09_0128B34: と云ふにはあらす何程知りたりとてそれを用に立て

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