浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0116A01: | 今稱名の行者の中に・此世の事を佛神に祈る人ある |
J09_0116A02: | を・傍より見て・是を嫌ひ・明慧上人・六波羅にて・ |
J09_0116A03: | 泰時の朝臣に・初めて對面し給ひし時・我れ自他の |
J09_0116A04: | 爲に・此の世の事を祈らずと宣ひし事を・例證とし・ |
J09_0116A05: | 聖道門の人すら此の如し・况や・厭欣の行者をやと |
J09_0116A06: | いひて強ちに制する人あり・是も亦偏なるべし・ |
J09_0116A07: | 其の人人の意樂に任すべし・若し厭欣の志深く・利 |
J09_0116A08: | 生の思ひ切にして・上品上生に生ぜん事を求め・稱 |
J09_0116A09: | 名の數遍を專とする人ならば・身の暇もあるまじく・ |
J09_0116A10: | 心の隙もあるべからざれば・念佛を閣いて何ぞ餘行 |
J09_0116A11: | を修すべき・唯信抄に云芭蕉泡沬の身・纔に一世の |
J09_0116A12: | 勤修を以て・忽に五趣の古郷をはなれんとす・豈緩く |
J09_0116A13: | 諸行を兼ねんや・云云・同じ安心の稱名者の中にも・ |
J09_0116A14: | 上中下の三根有るべければ必しも一同なるべから |
J09_0116A15: | ず・若し上根の念佛者ならば・身命財に於て・常に |
J09_0116A16: | 捨念に住し・十重の厭欣・三業離合の止惡修善に・心 |
J09_0116A17: | を措くにてあるべし・中下の機の念佛者は・因果を信 |
J09_0116B18: | ずといへども深からず・極樂を願ふといへども欣求 |
J09_0116B19: | 淺し・然れども當來惡趣に墮せんことを恐る故に・往 |
J09_0116B20: | 生を求むる也・此の如きの人此の世の事も捨てがた |
J09_0116B21: | く身に堪へがたき災難を遁れんと欲し・又は重き病 |
J09_0116B22: | を免れん爲に佛神に祈り・念佛の外の行を修するを |
J09_0116B23: | 往生の碍と成るとは云ふべからず・若し驗者などに |
J09_0116B24: | 賴んで祈らば・稱名の碍ともなるべからず・又念佛の |
J09_0116B25: | 行者現世の事を祈らば・彌陀の外の餘尊餘佛に求む |
J09_0116B26: | べし・上人の曰・念佛の外に・佛にも神にも申し・經を |
J09_0116B27: | 讀み書き・佛を造らんは・專修を碍ふる行にては候は |
J09_0116B28: | ず・云云・又現當二世の事共に彌陀一佛に祈り奉るべ |
J09_0116B29: | きにても侍れども・淨土家には餘願廻向といひて・往 |
J09_0116B30: | 生の外の事を彌陀に求め奉るを好ざる事とす・騏驥 |
J09_0116B31: | に鹽車を附くる如に思へり去りながら月輪の禪閤の |
J09_0116B32: | 北の政所・念佛の事を・上人へ御尋ありし返事には・ |
J09_0116B33: | 公達などの御祈の料にも・念佛がめてたく候・又傳 |
J09_0116B34: | 敎大師の・七難即滅の法にも念佛を勤むべしと見え |