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J1340 一枚起請但信鈔 隆長 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0116A01: 今稱名の行者の中に・此世の事を佛神に祈る人ある
J09_0116A02: を・傍より見て・是を嫌ひ・明慧上人・六波羅にて・
J09_0116A03: 泰時の朝臣に・初めて對面し給ひし時・我れ自他の
J09_0116A04: 爲に・此の世の事を祈らずと宣ひし事を・例證とし・
J09_0116A05: 聖道門の人すら此の如し・况や・厭欣の行者をやと
J09_0116A06: いひて強ちに制する人あり・是も亦偏なるべし・
J09_0116A07: 其の人人の意樂に任すべし・若し厭欣の志深く・利
J09_0116A08: 生の思ひ切にして・上品上生に生ぜん事を求め・稱
J09_0116A09: 名の數遍を專とする人ならば・身の暇もあるまじく・
J09_0116A10: 心の隙もあるべからざれば・念佛を閣いて何ぞ餘行
J09_0116A11: を修すべき・唯信抄に云芭蕉泡沬の身・纔に一世の
J09_0116A12: 勤修を以て・忽に五趣の古郷をはなれんとす・豈緩く
J09_0116A13: 諸行を兼ねんや・云云・同じ安心の稱名者の中にも・
J09_0116A14: 上中下の三根有るべければ必しも一同なるべから
J09_0116A15: ず・若し上根の念佛者ならば・身命財に於て・常に
J09_0116A16: 捨念に住し・十重の厭欣・三業離合の止惡修善に・心
J09_0116A17: を措くにてあるべし・中下の機の念佛者は・因果を信
J09_0116B18: ずといへども深からず・極樂を願ふといへども欣求
J09_0116B19: 淺し・然れども當來惡趣に墮せんことを恐る故に・往
J09_0116B20: 生を求むる也・此の如きの人此の世の事も捨てがた
J09_0116B21: く身に堪へがたき災難を遁れんと欲し・又は重き病
J09_0116B22: を免れん爲に佛神に祈り・念佛の外の行を修するを
J09_0116B23: 往生の碍と成るとは云ふべからず・若し驗者などに
J09_0116B24: 賴んで祈らば・稱名の碍ともなるべからず・又念佛の
J09_0116B25: 行者現世の事を祈らば・彌陀の外の餘尊餘佛に求む
J09_0116B26: べし・上人の曰・念佛の外に・佛にも神にも申し・經を
J09_0116B27: 讀み書き・佛を造らんは・專修を碍ふる行にては候は
J09_0116B28: ず・云云・又現當二世の事共に彌陀一佛に祈り奉るべ
J09_0116B29: きにても侍れども・淨土家には餘願廻向といひて・往
J09_0116B30: 生の外の事を彌陀に求め奉るを好ざる事とす・騏驥
J09_0116B31: に鹽車を附くる如に思へり去りながら月輪の禪閤の
J09_0116B32: 北の政所・念佛の事を・上人へ御尋ありし返事には・
J09_0116B33: 公達などの御祈の料にも・念佛がめてたく候・又傳
J09_0116B34: 敎大師の・七難即滅の法にも念佛を勤むべしと見え

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