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J1340 一枚起請但信鈔 隆長 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0115A01: 事實を自筆に書し・伊益散人也足軒ノ和歌ノ門人天正之比ノ奧州岩城ノ城主伊藤ガ息ナリ
J09_0115A02: の所へ・贈り給ひし消息・多武の峯淸淨院にあり・末
J09_0115A03: の代の凡人にすら・誠ある人には此の如きの不思議
J09_0115A04: あり・上人夢中に・光明大師に見給ひしなどをば・
J09_0115A05: 聊も疑ふまじき事也・口惜しや・雲井がくれに居る龍
J09_0115A06: も・思ふ人には見えけるものをと詠侍れば・誓願ま
J09_0115A07: します佛菩薩を・見奉らんと一心に祈り求めば・形
J09_0115A08: をも現じ給ふべきに・見んと思ふ志の弱き故に・一
J09_0115A09: 尊をも祈り顯さざるは・長明が言の如く・慚愧すべ
J09_0115A10: き也
J09_0115A11: 又世出世の事に付いて願ひある人・佛神に祈れども
J09_0115A12: 驗なしとて・退屈の心を生ずべからず・行の日數を・
J09_0115A13: 經の中に・一日七日三七日・一月三月一年三年と説給
J09_0115A14: へば・志を堅固にし・驗のあるまで祈るべし・行の如
J09_0115A15: 法不如法・信心の厚き薄き宿障の輕き重きに依りて・
J09_0115A16: 願成に遲疾あるべし・法華の玄義に云・若解四意・
J09_0115A17: 一切低頭擧手福不虚棄・終日無感終日無悔・四意者、
J09_0115B18: 顯機冥應四句也昔し天竺の人・修羅宮に入らん事を求め三年
J09_0115B19: の間一心に陀羅尼を誦せしに修羅宮の巖窟自ら開け
J09_0115B20: て心のままに入りし事あり・又唐に跛たる者ありし
J09_0115B21: が・足立たん事を求め・天台大師の御廟へ月の二十四
J09_0115B22: 日毎に・膝行ながら詣でしに・祈り初めしより十七年
J09_0115B23: に當る仲冬二十四日御廟の前にて・覺えず足立て・我
J09_0115B24: 屋に歸りし也・善にまれ惡にまれ・勇猛強盛の心に
J09_0115B25: てなすと・又心弱けれども昨日も今日も怠らず・打
J09_0115B26: 續いて恒になすとは皆定業と成る也・佛小乘敎の中
J09_0115B27: には定業は轉せずと説給ふ・是は隨他意也・實敎の
J09_0115B28: 中には一切不定業と説給ふ・業若し轉ぜずは十惡の
J09_0115B29: 人往生を遂くべからず・凡夫・佛とも成るべからず・
J09_0115B30: 金葉集の歌の中に心經の心を・攝政左大臣
J09_0115B31: 色も香も空しと説ける法なれば
J09_0115B32: 祈るしるしはありとこそきけ
J09_0115B33: 大品云・若謂諸法不空・即無道無果・中論云・以
J09_0115B34: 有空義故・一切法得成・云云

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