浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0114A01: | ぜば・深信は信解の前後に通ず・解信ある人・それ |
J09_0114A02: | を捨て偏に信じ・決定する位をも・深信と名く・喩 |
J09_0114A03: | ば水を求め井をほる人此の土の底に水ありと・人の |
J09_0114A04: | 云ふを疑はずして土を穿つは深信也・溼泥現前す |
J09_0114A05: | るを見て・慥に水ありと知るは解信也・溼泥を見 |
J09_0114A06: | て解を生ずるは・唯だ是れ水を信ずるの縁也・既に |
J09_0114A07: | 溼泥を信じ得ば・解して何の用かあらんやと思ひ・ |
J09_0114A08: | 偏に解信を息めて一心に水を念ずるをも深信と云ふ |
J09_0114A09: | 也・三心の中の深信は・曾て解信の沙汰にはあらず・ |
J09_0114A10: | 仰信也・佛法は不思議を本とす・但信を要とすべし |
J09_0114A11: | 信深き人には・今の世にも不思議の事あり・慶安の |
J09_0114A12: | 比・石淸水八幡宮の神人に・伴與九郞久金と云者あ |
J09_0114A13: | り・わかき時より神道を好み・吉田の兼見の述作の |
J09_0114A14: | 書を信仰して常に披見す・ある夜・久金が夢に・齡 |
J09_0114A15: | 五十許なる男の衣冠正しき體なるが手に一卷の書 |
J09_0114A16: | をもち・久金に向つて・我は吉田の兼見也・汝我が |
J09_0114A17: | 著述の神書を讀むこと日久し我れ甚だ喜ぶ・故に今 |
J09_0114B18: | ま此に來つて對面す・汝に神道の深祕を授くべしと |
J09_0114B19: | 云ひて手に持てる書を渡せり・久金謹んで頂戴し披 |
J09_0114B20: | き見れば引合せのやうなる紙に・一首の和歌あり・ |
J09_0114B21: | 仰げ猶唯一すぢの神の道の |
J09_0114B22: | 心にかなふ和歌のうら波 |
J09_0114B23: | 即ち夢はさめぬ・久金嬉しくも有り難くも思ひ翌日 |
J09_0114B24: | 吉田に往いて・兼見の影を申し出し・初て拜見する |
J09_0114B25: | に肥たる男の顏の少し赤くて片目にて在す・其の形・ |
J09_0114B26: | 夢に見し面影に聊も違はず・其の頃・彈正忠康勝の |
J09_0114B27: | 朝臣と云ふ人あり・劍術に妙を得たる人也常に神儒 |
J09_0114B28: | 佛の三敎を好み・久金を・神を學ぶの友とし給ふ・ |
J09_0114B29: | 折節二條河原町の旅館に在しけるに・久金吉田よ |
J09_0114B30: | りの歸りに立寄り・夢の事を具に語る・康勝感心し |
J09_0114B31: | 給ひ・兼見の影を・畵工狩野氏に命じて寫させ・久 |
J09_0114B32: | 金に賜ふ・賛には・夢想の和歌を・吉田の三位兼里の |
J09_0114B33: | 卿書き給へり・久金代代領せる・八幡の邊の地に・兼 |
J09_0114B34: | 見の祠を建て・厚く是を敬ふ・康勝朝臣・久金が夢の |