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J1340 一枚起請但信鈔 隆長 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0113A01: えし也此の僧めでたく往生を遂たるを見此の如く唱へし故に往生を遂たりと思ひ、一寺擧りてかく稱へし也、非因計因の戒禁取見也、雞狗
J09_0113A02: の行をなす事勿れ又鎭西流義抄に六字を片言に稱ふるを制すと
J09_0113A03: いへども・是を改むる人なきは所謂習久しきを法と
J09_0113A04: 思ふ故也・又六字を分明に稱へざる念佛者は往生
J09_0113A05: すべからずと思ふ人あり・是も亦・彼に偏ならざれ
J09_0113A06: ば此に偏なりと云ふ類なるべし・心に六字を稱ふ
J09_0113A07: と思へども・自然に片言ならんは・邪見の人にはあ
J09_0113A08: らず
J09_0113A09: 又學者と云ふ人の中に・念佛の三心を六かしく心得
J09_0113A10: 具しがたきもののやうに談ずる人あり・三心もし具
J09_0113A11: しがたきものならば・凡夫の往生は叶ひがたかる
J09_0113A12: べし・又至誠心を説く人聖廟の・眞の道にかなひな
J09_0113A13: ばと云ふ御歌などを証とし・誠の心は發りがたきも
J09_0113A14: のなりと云ふ人あり・是も亦誤れり・三心の中の至
J09_0113A15: 誠心は・唯僞らぬ分齊也・歷縁對境の名利に犯され・
J09_0113A16: 世間の事に虚假ならんをば論ぜず・往生の解行に付
J09_0113A17: いては必ず眞實なるべしと也・向阿の云くもと實の
J09_0113B18: 心ある人・時として虚假の心を起すといへども・後
J09_0113B19: に實の心を起して取りかへして廻向すれば・其業必
J09_0113B20: ず往生の業となる也・只いかにもして・意樂を眞實
J09_0113B21: にもつべき也・凡夫の習ひ縁にあひて・とある心も
J09_0113B22: かかる心も起る也・されども意樂だにもよければ・
J09_0113B23: 其業皆な往生の業となる也・云云
J09_0113B24: 又三心は三つながら離るまじき心也・強ていはば・
J09_0113B25: 深心を要とす・此一つの心だにもあれば・先も後も
J09_0113B26: 必ず具する也・三心の中の第二に・深の名を置給ふ
J09_0113B27: は・前後の二心は・第二の信の功にある故也・至心
J09_0113B28: 信樂の樂の字に・樂欲と愛樂との二義あり・愛樂は
J09_0113B29: 信の功也といへり・捨攞駄此云深信阿毘目底此云信解此の二つ
J09_0113B30: を共に具せんは可なりといへども・信解は容易には
J09_0113B31: 得がたくや侍らん・仰信深信言異心同深信と云は・佛妄語し給
J09_0113B32: はずと・偏に其の誠言を信じて所由を辨へざる也・
J09_0113B33: 信解は解了の縁を假つて・正しく決定する信也・又
J09_0113B34: 一往をいはば・深心は淺く・信解は深し・再往を判

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