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J1340 一枚起請但信鈔 隆長 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0111A01: 昔のままに照す月影
J09_0111A02: 愚癡の凡夫・但信稱名の一行にて・報土に生じ・上
J09_0111A03: 輩の人と成り・速に忍を得と云は・實に難信の法也・
J09_0111A04: 般舟讃に云・觀經彌陀經等説・即是頓敎菩薩藏・一
J09_0111A05: 日七日專稱佛命斷須臾生安樂一入彌陀涅槃國・即
J09_0111A06: 得不退證無生・
J09_0111A07: 頃智者の念佛門に入りたるも多し・久遠寺の日遠上
J09_0111A08: 人の上足の弟子に・西岸上人・諱良澄了性上人・諱明空
J09_0111A09: 云人あり・二人共に・秀たる學生にて侍りしと也・兩
J09_0111A10: 僧いかが思はれけん・遠師蟬脱の後・二人同道して・
J09_0111A11: 密に身延山を出でて都に上り・西岸は山門に入りて
J09_0111A12: 宗を天台に改め・常に三觀を修す・三塔の學頭・勸
J09_0111A13: めて東坂本の西敎寺に住持せしむ・居る事三年・其
J09_0111A14: の後勢州西來寺に移轉す彼の寺の僧共の請に依つて
J09_0111A15: 天台の觀經の疏を講ぜし序・光明大師の觀經四帖の
J09_0111A16: 疏并に記主上人述作の傳通記を・數遍披閲し・今始
J09_0111A17: めて彌陀本願の深旨を知り・又光明黑谷の素意を知
J09_0111B18: る・我等が往生掌を指すが如しといひ・それより年
J09_0111B19: 來所修の行業を捨て・一向專修の行者と成り・洛陽
J09_0111B20: に上り・壬生の地藏院の藪の内に茆を結んて隱る・一
J09_0111B21: 年一夏・和州上宮成福寺聖德太子薨御之地に住めり・六月の末・
J09_0111B22: 日沒の前道塲に入り・獨り高聲に念佛す・時に西方
J09_0111B23: より・金色の光明室に入るを見る・本尊坊宇・庭前の
J09_0111B24: 樹木等・一物も見えず・唯光明のみ光しばらく有り
J09_0111B25: て去る・西岸手を敲き門人覺運を呼んで・光明の事
J09_0111B26: を語り・年月日時を記さしむ我が康存の間は此の事
J09_0111B27: を人に語るべからず・滅後には・汝が心に任すべし
J09_0111B28: といへり・予覺運上人に初て謁せし時・先つ此の光
J09_0111B29: 明の事を問ふ・其の答世に語り傳ふると異なる事な
J09_0111B30: し・折節座邊に料紙なくて・書籍の表紙の裏に年月
J09_0111B31: を記し置きたる今に有りと宣へり・華嚴經に放光明
J09_0111B32: 名見佛と説給へるは・かかる光の事にやあるらん・
J09_0111B33: 慈鎭和尚の歌に
J09_0111B34: さりともな光は消えぬ世なりけり

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