浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0111A01: | 昔のままに照す月影 |
J09_0111A02: | 愚癡の凡夫・但信稱名の一行にて・報土に生じ・上 |
J09_0111A03: | 輩の人と成り・速に忍を得と云は・實に難信の法也・ |
J09_0111A04: | 般舟讃に云・觀經彌陀經等説・即是頓敎菩薩藏・一 |
J09_0111A05: | 日七日專稱佛命斷須臾生安樂一入彌陀涅槃國・即 |
J09_0111A06: | 得不退證無生・ |
J09_0111A07: | 頃智者の念佛門に入りたるも多し・久遠寺の日遠上 |
J09_0111A08: | 人の上足の弟子に・西岸上人・諱良澄了性上人・諱明空と |
J09_0111A09: | 云人あり・二人共に・秀たる學生にて侍りしと也・兩 |
J09_0111A10: | 僧いかが思はれけん・遠師蟬脱の後・二人同道して・ |
J09_0111A11: | 密に身延山を出でて都に上り・西岸は山門に入りて |
J09_0111A12: | 宗を天台に改め・常に三觀を修す・三塔の學頭・勸 |
J09_0111A13: | めて東坂本の西敎寺に住持せしむ・居る事三年・其 |
J09_0111A14: | の後勢州西來寺に移轉す彼の寺の僧共の請に依つて |
J09_0111A15: | 天台の觀經の疏を講ぜし序・光明大師の觀經四帖の |
J09_0111A16: | 疏并に記主上人述作の傳通記を・數遍披閲し・今始 |
J09_0111A17: | めて彌陀本願の深旨を知り・又光明黑谷の素意を知 |
J09_0111B18: | る・我等が往生掌を指すが如しといひ・それより年 |
J09_0111B19: | 來所修の行業を捨て・一向專修の行者と成り・洛陽 |
J09_0111B20: | に上り・壬生の地藏院の藪の内に茆を結んて隱る・一 |
J09_0111B21: | 年一夏・和州上宮成福寺聖德太子薨御之地に住めり・六月の末・ |
J09_0111B22: | 日沒の前道塲に入り・獨り高聲に念佛す・時に西方 |
J09_0111B23: | より・金色の光明室に入るを見る・本尊坊宇・庭前の |
J09_0111B24: | 樹木等・一物も見えず・唯光明のみ光しばらく有り |
J09_0111B25: | て去る・西岸手を敲き門人覺運を呼んで・光明の事 |
J09_0111B26: | を語り・年月日時を記さしむ我が康存の間は此の事 |
J09_0111B27: | を人に語るべからず・滅後には・汝が心に任すべし |
J09_0111B28: | といへり・予覺運上人に初て謁せし時・先つ此の光 |
J09_0111B29: | 明の事を問ふ・其の答世に語り傳ふると異なる事な |
J09_0111B30: | し・折節座邊に料紙なくて・書籍の表紙の裏に年月 |
J09_0111B31: | を記し置きたる今に有りと宣へり・華嚴經に放光明 |
J09_0111B32: | 名見佛と説給へるは・かかる光の事にやあるらん・ |
J09_0111B33: | 慈鎭和尚の歌に |
J09_0111B34: | さりともな光は消えぬ世なりけり |