浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0110A01: | 權敎にまれ實敎にまれ・其の家家に要とする所の深 |
J09_0110A02: | 義には・通じ難かるべし・喩ば沈水栴檀は美じき薰な |
J09_0110A03: | れとも・其の香を我か鼻に留置て・他の芸を齅くとき |
J09_0110A04: | は・廬橘のにほひやらん・芝蘭のかほりやらん・ |
J09_0110A05: | わかち難き如くならん・云云 |
J09_0110A06: | 能化に僻見の人あれば・所化皆な是れに隨ふ・一盲衆 |
J09_0110A07: | 盲を引くと云が如し・正見の知識世に出つれば・多 |
J09_0110A08: | の人謬解を改む・日出れば暗去るが如し・一人世間 |
J09_0110A09: | に生ずれは・多人衰惱を得・一人世間に生ずれば・ |
J09_0110A10: | 多人利益を得と・云事あり・始日大師・支那に出給 |
J09_0110A11: | へば・圓頓の光再び輝き・普照國師・此國に來り給 |
J09_0110A12: | へば・達磨宗復た盛んなり・ |
J09_0110A13: | 元和の比・俊正房明忍律師と云人あり・原は舟橋の |
J09_0110A14: | 何某と云ふて儒門の學生なりき東君の御前にて・儒 |
J09_0110A15: | 書を講ぜし事も度度也・後に僧と成り高雄の心海僧 |
J09_0110A16: | 正と心を合せ久く絶えたる戒律を再興す・此れより |
J09_0110A17: | 此の國に如法の比丘多くなれり・俊正律師・求法の |
J09_0110B18: | 爲に・唐に渡らんとて・西國に下り・平戸と云所に |
J09_0110B19: | て・舟待し居給ふ旅亭にて往生要集を初て披閲し・ |
J09_0110B20: | 稱名の行者と成り・唐しへも渡らす・亦都へも上ら |
J09_0110B21: | ず・彼の地に留り・明暮念佛し給ふ・臨亡の時・佛 |
J09_0110B22: | 菩薩の來迎・並に極樂の體相を拜見し紙筆を乞うて |
J09_0110B23: | 書して曰く・畵に書けるは萬分が一・八功德池には・ |
J09_0110B24: | 七寳の蓮花あり・樹林には瑠璃本紙如此の・華菓枝葉等也・ |
J09_0110B25: | 云云・也と云字に至り筆を引棄てて息絶え給へり・ |
J09_0110B26: | 其の眞蹟槇尾西明寺にあり・圓通大師・宋の吳門寺 |
J09_0110B27: | にて・ |
J09_0110B28: | 雲の上に遙に樂の音す也 |
J09_0110B29: | 人やきくらんそら耳かもし |
J09_0110B30: | と詠んで去給ひしにも・劣るまじき往生也・在世の韋 |
J09_0110B31: | 提・滅後の凡夫・同く攝取の光明を被るといふ心を |
J09_0110B32: | 圓光上人・ |
J09_0110B33: | 曇り行く人の心の末の世を |