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J1330 吉水遺誓諺論附録正流弁 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0059A01: 文を省き玉はんや。勢觀相承の要は。此遺誓にあ
J09_0059A02: ればなり。知ぬ傳聞にあらざることを。是故に云
J09_0059A03: ふ。諺論の意を熟知せざるなりと。今は自語と自筆
J09_0059A04: の優劣を論ずるにはあらず。相承安心の一致なる
J09_0059A05: ことを顯はさんと也。宜しく意を得て知りぬべし
J09_0059A06: 抑鎭西上人特に吉水正流相承の許可を得玉ひて。
J09_0059A07: 當時乘願。湛空。聖覺等の。同門の龍象。皆悉く證
J09_0059A08: 誠をなし玉へり。しかのみならず。鎭西製作の授
J09_0059A09: 手印は。末代に光を放つべき書なり。との靈告あ
J09_0059A10: りけり。かくて此法を。記主禪師に相傳し玉ひて
J09_0059A11: より以降六百有餘年。吉水淸流異途なく。四箇本
J09_0059A12: 山。十八叢林に。傳持禀承して。天下に弘通し。四
J09_0059A13: 海に盈溢し。利物偏增の。宏益を施すこと。眞に
J09_0059A14: 末代放光の。懸記に應して。實に大師の未來智を。
J09_0059A15: 仰ぎ奉るものなり。予先に吉水前知錄を述して。
J09_0059A16: 此一事をもらせるは。彼書は。普く自他に通ぜし
J09_0059A17: めんと欲して也。今幸に此書のあるあり。彼に續
J09_0059B18: で知ぬべし。淨業問辨。梓板鳥有せり。故に此附
J09_0059B19: 錄を。諺論に附して行はんと欲して再挍上木す
J09_0059B20: 因みに擧ぐ。紫野一休禪師。讃法然上人偈あり。
J09_0059B21: 狂雲集下十五帋に出たり。其偈に云く。法然傳聞活
J09_0059B22: 如來。安坐蓮華上品臺。敎智者如尼人道。一
J09_0059B23: 枚起請最奇哉。と。此偈人口に膾炙せり。眞珠庵
J09_0059B24: に什寳せる。禪師眞跡の集。今現行の集。皆同し
J09_0059B25: く法然傳聞に作れり。然るに世人多くは。首句を
J09_0059B26: 傳聞法然活如來と云へり。法然傳聞は倒置なりと
J09_0059B27: おもひて。翻りて倒置せるなり。偈の意は。聖道
J09_0059B28: 家にては。なべて唯心の淨土。己心の彌陀とのみ
J09_0059B29: 云へるに。淨家の元祖法然より傳へきけば。別に
J09_0059B30: 活如來ありて。蓮華上品臺に安坐し玉ふ。其活如
J09_0059B31: 來は。現在西方の阿彌陀佛をさす。元祖には非す。
J09_0059B32: 彼佛を念じて。往生を願ふには。たとひ一代藏經
J09_0059B33: を。よくよく學び得たる智者なりとも。尼入道の
J09_0059B34: 無智の輩に同して。念佛往生せよと勸め玉ふ。一

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