浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0059A01: | 文を省き玉はんや。勢觀相承の要は。此遺誓にあ |
J09_0059A02: | ればなり。知ぬ傳聞にあらざることを。是故に云 |
J09_0059A03: | ふ。諺論の意を熟知せざるなりと。今は自語と自筆 |
J09_0059A04: | の優劣を論ずるにはあらず。相承安心の一致なる |
J09_0059A05: | ことを顯はさんと也。宜しく意を得て知りぬべし |
J09_0059A06: | 抑鎭西上人特に吉水正流相承の許可を得玉ひて。 |
J09_0059A07: | 當時乘願。湛空。聖覺等の。同門の龍象。皆悉く證 |
J09_0059A08: | 誠をなし玉へり。しかのみならず。鎭西製作の授 |
J09_0059A09: | 手印は。末代に光を放つべき書なり。との靈告あ |
J09_0059A10: | りけり。かくて此法を。記主禪師に相傳し玉ひて |
J09_0059A11: | より以降六百有餘年。吉水淸流異途なく。四箇本 |
J09_0059A12: | 山。十八叢林に。傳持禀承して。天下に弘通し。四 |
J09_0059A13: | 海に盈溢し。利物偏增の。宏益を施すこと。眞に |
J09_0059A14: | 末代放光の。懸記に應して。實に大師の未來智を。 |
J09_0059A15: | 仰ぎ奉るものなり。予先に吉水前知錄を述して。 |
J09_0059A16: | 此一事をもらせるは。彼書は。普く自他に通ぜし |
J09_0059A17: | めんと欲して也。今幸に此書のあるあり。彼に續 |
J09_0059B18: | で知ぬべし。淨業問辨。梓板鳥有せり。故に此附 |
J09_0059B19: | 錄を。諺論に附して行はんと欲して再挍上木す |
J09_0059B20: | 因みに擧ぐ。紫野一休禪師。讃法然上人偈あり。 |
J09_0059B21: | 狂雲集下十五帋に出たり。其偈に云く。法然傳聞活 |
J09_0059B22: | 如來。安坐蓮華上品臺。敎智者如尼人道。一 |
J09_0059B23: | 枚起請最奇哉。と。此偈人口に膾炙せり。眞珠庵 |
J09_0059B24: | に什寳せる。禪師眞跡の集。今現行の集。皆同し |
J09_0059B25: | く法然傳聞に作れり。然るに世人多くは。首句を |
J09_0059B26: | 傳聞法然活如來と云へり。法然傳聞は倒置なりと |
J09_0059B27: | おもひて。翻りて倒置せるなり。偈の意は。聖道 |
J09_0059B28: | 家にては。なべて唯心の淨土。己心の彌陀とのみ |
J09_0059B29: | 云へるに。淨家の元祖法然より傳へきけば。別に |
J09_0059B30: | 活如來ありて。蓮華上品臺に安坐し玉ふ。其活如 |
J09_0059B31: | 來は。現在西方の阿彌陀佛をさす。元祖には非す。 |
J09_0059B32: | 彼佛を念じて。往生を願ふには。たとひ一代藏經 |
J09_0059B33: | を。よくよく學び得たる智者なりとも。尼入道の |
J09_0059B34: | 無智の輩に同して。念佛往生せよと勸め玉ふ。一 |