ウィンドウを閉じる

J1330 吉水遺誓諺論附録正流弁 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0060A01: 枚起請文は最も奇特なるもの哉。と云ふことなり。
J09_0060A02: 然るに造語の雅ならざるやうに思ふにや。倒置な
J09_0060A03: りと云ひて。傳聞法然活如來とすれば。法然上人を
J09_0060A04: さして。活如來と云ふことになる故。何の味も無き
J09_0060A05: 句となりて。大に語脉を失へり。誰か一人かく誤
J09_0060A06: りを傳へて後。愚者は云ふにや及ぶ。さばかりの
J09_0060A07: 珂然和尚だも。吉水實錄の中に。一休和上讚大
J09_0060A08: 師。爲生身如來。所謂道士誠知人者也と述べら
J09_0060A09: れしは。智人面前三尺の闇なりと云ふべし。是故
J09_0060A10: に今爰に辨して。禪師の讃意。徒設ならざることを
J09_0060A11: 知らしむ。禪師は實に淨家の秘頥をもさぐり得
J09_0060A12: 玉へる人なり。狂雲集上廿八帋歸入淨土の偈二首
J09_0060A13: あり。謂く。前年辱賜大燈國師頂相。予今更衣
J09_0060A14: 入淨土宗。故玆奉還栖雲老和尚。離却禪門最
J09_0060A15: 上乘。更衣淨土一宗僧。妄成如意靈山衆。嘆息多
J09_0060A16: 年晦大燈。又。狂雲大德下波旬。會裏修羅勝負
J09_0060A17: 瞋。古則話頭何用處。幾多辛苦數他珍。意の謂く。
J09_0060B18: 最上乘の禪門は。我機に應ぜざれば。即今離却し
J09_0060B19: て。淨土宗に歸入するは。今迄妄りに。如意靈山
J09_0060B20: 大德寺の山號ならんの衆となりて。多年大燈國師の遺法を晦
J09_0060B21: ましたることを嘆息すればなりと。みつべし淨家
J09_0060B22: に投機して。重慚愧の意を述玉へることを。次の偈
J09_0060B23: は。狂雲一休の號は大德寺の天魔波旬なり。會裏とは。
J09_0060B24: 古則話頭にても。心性にても。會得したることに云
J09_0060B25: へども。爰は海會衆裏のこととして。看るがよか
J09_0060B26: るべし。謂く大會の裏にて。問答商量すれば。修
J09_0060B27: 羅の勝負の如く徒らに瞋毒を倍增するのみ。さ
J09_0060B28: らば古則話頭も。何の用ゐる處ぞ。幾多の辛苦も
J09_0060B29: 皆是他の珍寳をかぞへたるにて。自己に所得はな
J09_0060B30: きなり。是故に今愚痴に還りて。心外の極樂。活
J09_0060B31: 如來の彌陀をたのみて。淨土を願ふなりと云ことな
J09_0060B32: り。嗚呼禪師は大徹大悟の人なりと云へども。徒
J09_0060B33: らに理悟の分際にとどこほらんことを思念して。よ
J09_0060B34: く吾大師の遺訓に歸して。自信敎人信す。法門に

ウィンドウを閉じる