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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0031A01: の釋は。五逆の罪人の臨終の十念を釋し玉へる文な
J09_0031A02: り臨終の一念は。百年の業にも勝れたる。勇猛心な
J09_0031A03: り。無後心なり。無間心なれば。一念十念の稱名
J09_0031A04: はその數少なしといへども。やがて下至十聲の本願
J09_0031A05: に乘ずる故に。立どころに。諸罪消滅して。能引能
J09_0031A06: 滿の業事成辨を得たり。これは臨終廻心の機なり。
J09_0031A07: 極重惡人なる上に。念佛の功も少なければ。わづかに
J09_0031A08: 下品の往生をば遂げるなり。もし平生の時より廻心
J09_0031A09: 念佛せん人は。本願の上盡一形相應の機なれば。こ
J09_0031A10: の機は必ず相續の二字を守りて。日日稱名相續して
J09_0031A11: 怠らざるを肝要とす。其故は。平生の中には。臨終
J09_0031A12: の如くなる勇猛心も發りがたく。又前念には念佛申
J09_0031A13: て。惡趣の業を損减すれども。後念には惡念をこり
J09_0031A14: て。やがてまた惡趣の絆をつなぎそふる凡心なれば。
J09_0031A15: 善惡つねに交りて。無間心にもあらず。無後心にも
J09_0031A16: あらざる故に。平生の中には。たやすく引滿の二業
J09_0031A17: を究竟成辨しがたきが故なり。就中末代の劣機は。
J09_0031B18: 作業はなはだ拙ければ。重淨心造の機は。希にして。
J09_0031B19: 多くはみな恒所造に業を成する類なれば。ひたすら
J09_0031B20: 願行相續を肝要として。もしは念念にまれ。もしは
J09_0031B21: 時時にまれ。もしは日日にも相續せん事。人人の志
J09_0031B22: に隨ひて。誓て懈怠せざるべし。さて朝夕の恭敬禮
J09_0031B23: 佛の節などには。ことさら用心を加へ。一心合掌し
J09_0031B24: て。高聲念佛をはげまし習ふべきなり。さあらば漸
J09_0031B25: 漸に滅罪生善の功德もつもりて。かの佛の哀愍覆護
J09_0031B26: をかうふる故に。とくもあれ。をそくもあれ。つい
J09_0031B27: にかならず往生の業種を增長圓滿したる時を。業事
J09_0031B28: 成辨の人とは名く。その業成と云は。六道牽引の業障
J09_0031B29: ことごとく消えはて。九品往生の淨業。ゆたかに圓滿
J09_0031B30: して。當果無碍の位を得たるを。平生業成の人とは名
J09_0031B31: くるなり。内には過現の業障ことごとく消えぬれば。
J09_0031B32: 不定惡業の跡たえて。延年轉壽の樂あり。外には聖
J09_0031B33: 衆の護念ますます強ければ。惡鬼魔縁の影さえて。
J09_0031B34: 橫難橫死の恐なし。又此時に佛の瑞告をも蒙りて。

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