浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0031A01: | の釋は。五逆の罪人の臨終の十念を釋し玉へる文な |
J09_0031A02: | り臨終の一念は。百年の業にも勝れたる。勇猛心な |
J09_0031A03: | り。無後心なり。無間心なれば。一念十念の稱名 |
J09_0031A04: | はその數少なしといへども。やがて下至十聲の本願 |
J09_0031A05: | に乘ずる故に。立どころに。諸罪消滅して。能引能 |
J09_0031A06: | 滿の業事成辨を得たり。これは臨終廻心の機なり。 |
J09_0031A07: | 極重惡人なる上に。念佛の功も少なければ。わづかに |
J09_0031A08: | 下品の往生をば遂げるなり。もし平生の時より廻心 |
J09_0031A09: | 念佛せん人は。本願の上盡一形相應の機なれば。こ |
J09_0031A10: | の機は必ず相續の二字を守りて。日日稱名相續して |
J09_0031A11: | 怠らざるを肝要とす。其故は。平生の中には。臨終 |
J09_0031A12: | の如くなる勇猛心も發りがたく。又前念には念佛申 |
J09_0031A13: | て。惡趣の業を損减すれども。後念には惡念をこり |
J09_0031A14: | て。やがてまた惡趣の絆をつなぎそふる凡心なれば。 |
J09_0031A15: | 善惡つねに交りて。無間心にもあらず。無後心にも |
J09_0031A16: | あらざる故に。平生の中には。たやすく引滿の二業 |
J09_0031A17: | を究竟成辨しがたきが故なり。就中末代の劣機は。 |
J09_0031B18: | 作業はなはだ拙ければ。重淨心造の機は。希にして。 |
J09_0031B19: | 多くはみな恒所造に業を成する類なれば。ひたすら |
J09_0031B20: | 願行相續を肝要として。もしは念念にまれ。もしは |
J09_0031B21: | 時時にまれ。もしは日日にも相續せん事。人人の志 |
J09_0031B22: | に隨ひて。誓て懈怠せざるべし。さて朝夕の恭敬禮 |
J09_0031B23: | 佛の節などには。ことさら用心を加へ。一心合掌し |
J09_0031B24: | て。高聲念佛をはげまし習ふべきなり。さあらば漸 |
J09_0031B25: | 漸に滅罪生善の功德もつもりて。かの佛の哀愍覆護 |
J09_0031B26: | をかうふる故に。とくもあれ。をそくもあれ。つい |
J09_0031B27: | にかならず往生の業種を增長圓滿したる時を。業事 |
J09_0031B28: | 成辨の人とは名く。その業成と云は。六道牽引の業障 |
J09_0031B29: | ことごとく消えはて。九品往生の淨業。ゆたかに圓滿 |
J09_0031B30: | して。當果無碍の位を得たるを。平生業成の人とは名 |
J09_0031B31: | くるなり。内には過現の業障ことごとく消えぬれば。 |
J09_0031B32: | 不定惡業の跡たえて。延年轉壽の樂あり。外には聖 |
J09_0031B33: | 衆の護念ますます強ければ。惡鬼魔縁の影さえて。 |
J09_0031B34: | 橫難橫死の恐なし。又此時に佛の瑞告をも蒙りて。 |